骨がスカスカになってもろくなり、骨折の危険性が増すのが「骨粗鬆症」だ。急速な高齢化に伴って患者数が増えており、日本骨粗鬆症学会などによると、日本における患者数は現在1300万人と推定されている。骨粗鬆症というと女性のイメージがあるが、男性の患者数は300万人と見られている。本特集では、骨粗鬆症が起きる仕組みから、気をつけたい生活習慣、そして骨を強くするための対策までを一挙に紹介する。
テーマ別特集「骨粗鬆症」
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骨粗鬆症は、骨がスカスカになってもろくなり、骨折の危険性が増す病気だ。急速な高齢化に伴って患者数が増えており、日本骨粗鬆症学会などが策定した「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版」によると、日本における骨粗鬆症の患者数は現在1300万人と推定されている。
骨粗鬆症の高齢者が転倒などで骨折し、そのまま寝たきりになるケースもある上、家族だけでなく医療従事者などの社会的負担も増大しており、早急に解決するべき大きな課題となっている。
今回の「テーマ別特集」では、骨粗鬆症が起きる仕組みから、気をつけたい生活習慣、そして骨を強くするための対策までを一挙に紹介する。
(※関連記事の一覧は最終ページに紹介しているので、より詳しく知りたい人はそちらもご覧ください)。
カルシウム不足だけでなく運動不足や生活習慣病もリスクに
骨粗鬆症は、骨密度(*1)が低下することで、骨がもろくなって骨折しやすくなる病気だ。骨密度は、加齢に伴い減っていく傾向がある。高齢化を迎え、骨粗鬆症を背景に骨折をする人は80~90歳代の高齢者を中心に増え続けている。
骨粗鬆症に詳しい原宿リハビリテーション病院(東京都渋谷区)の名誉院長、林泰史氏は、「病気もなく元気だった人が、転倒などでいきなり寝たきりの状態になってしまうこともあり、家族だけでなく、医師や看護師など医療従事者の負担も増大し、社会的な問題となっています」と言う。
私たちの骨は、海綿状(スポンジ状)の骨(海綿骨)の外側を硬い管状の骨(皮質骨)が覆っている構造になっていて、内側の海綿骨の方が外殻となる皮質骨より、表面積が大きく、早くもろくなる。背骨は海綿状の骨の割合が大きいので、骨粗鬆症により骨の強度が弱まりやすく、少しの圧力や動きで気づかないうちに内部が少しずつ壊れて(圧迫骨折)、全体的に縮んでいく。
「骨粗鬆症を放置していると、背骨などが圧迫骨折を起こし、腰や背中に痛みが現れます。そして、次第に背中や腰が丸くなり、身長が縮んできます。25歳の時より4cm以上の身長低下がある場合は椎体(ついたい、*2)を骨折している可能性が高く、人にもよりますが中には身長が10cmぐらい縮むこともあります」(林氏)
(*2)椎体(ついたい):背骨(椎骨、ついこつ)の前方の、円柱状の部分。
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