脈の速さやリズムが乱れる「不整脈」。その一種である「心房細動」は、高齢化に伴い患者数が増加しており、潜在患者も含めると100万人を超えると言われている。心房細動の怖いところは、放置すると脳梗塞などの命に関わる病気を引き起こす可能性があることだ。本記事では、これまでに掲載した人気記事から、心房細動の症状や早期発見のコツ、治療のポイントなどをコンパクトにまとめた。
テーマ別特集 あなたも「隠れ心房細動」?! 高齢化で急増する危険な不整脈
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脈が速くなったり、遅くなったり、リズムが乱れたりする、不整脈。心臓がドキンッとするような自覚症状がある人もいれば、無症状で健康診断の心電図検査で偶然見つかる人もいる。発症には加齢も関係しており、年を取れば取るほど誰にでも起こり得る身近な症状だ。
脈は、心臓が全身に血液を送り出していることを示すサインだ。その脈の速さやリズムに異常が生じると、「そのうち心臓が止まって死んでしまうのではないか」と恐怖を感じてしまうのも無理はない。だが、実は、不整脈の9割は「期外収縮」と呼ばれる、放置しても問題ない不整脈だ。さらに、医療技術の発達により、残りの1割の「怖い不整脈」も、一部(発作性上室頻拍など)は手術で治る病気になっている。
今回取り上げる心房細動は、高齢化に伴い患者数が増加の一途をたどっている不整脈だ。「怖い不整脈」ではあるものの、脈の乱れ自体が命にかかわることはなく、不整脈によって心臓にできた血の塊(血栓)が脳の血管を詰まらせて、脳梗塞などの重い合併症を引き起こすことが知られている。
以下に、患者数が100万人を超えると言われる「心房細動」の症状や経過、治療の最新事情などをコンパクトにまとめていく。
患者数約100万人、超高齢社会で「明日はわが身」の不整脈
心臓は、血液を全身に送り出すポンプの働きをする臓器だ。全身を巡って戻ってきた血液を一時的にためる「右心房」、戻ってきた血液を肺へと送り出す「右心室」、肺で酸素を取り込んだ血液が戻ってくる「左心房」、全身に血液を送り出す「左心室」―という4つの部屋に分かれている。心房細動では、この心房に異常な電気信号が伝わることで、心房がブルブルとけいれんしたように不規則に震える(図1)。
