多くの男性が気にする「痛風」、そして「尿酸値」。一般に「プリン体が原因なので、プリン体を抑えた発泡酒などを選べばいい」「魚卵、レバーはダメ」など、いろいろな“常識”が知られている。しかし、これらの常識がすべて正しいわけではない。本テーマ別特集を読んで、最新情報をアップデートしておこう。

働き盛りのビジネスパーソン、中でも男性が、健康診断の結果で気になるデータといえば、肝機能、脂質、そして尿酸値だろう。尿酸値が7.0mg/dLを超えた状態は高尿酸血症と呼ばれ、痛風の発作を起こす可能性が高まる。
痛風はある日突然襲ってくる。尿酸値が徐々に上昇し、痛風のリスクが高まる前に、尿酸値上昇を防ぐための“正しい知識”を身につけ、生活習慣の改善に着手したいところだ。
日経Goodayでは「痛風・尿酸値」の最新事情を、様々な記事でお届けしてきた。本テーマ別特集では、このうち、「痛風の仕組み」「痛風発作の典型的なパターン」「尿酸値とプリン体・お酒のホントの関係」「高尿酸血症の治療はどんなことをするのか」についてのエッセンスをコンパクトにまとめてお届けする。
(※関連記事の一覧は最終ページに紹介しているので、より詳しく知りたい人はそちらもご覧ください)。
痛風患者は100万人を突破! 尿酸値が高い予備群も1000万人
まずは、痛風・高尿酸血症の現状を把握しておこう。
今でこそ、誰もがかかる可能性がある一般的な病気となっている痛風だが、かつては日本ではほとんど見られない病気だった。それが変わったのが、高度経済成長期以降の日本の食生活の変化だ。
「1960年代の高度経済成長期に肉やアルコールの消費量が増え、それと合わせるように痛風の患者さんが増加しました」。『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン』の作成に携わった、帝京大学医学部名誉教授の藤森新さんはそう話す。
厚生労働省の国民生活基礎調査によると、痛風で通院中の推計患者数は2013年についに100万人を超えた。痛風予備群である高尿酸血症(尿酸値7.0mg/dL超)は1000万人以上といわれている。成人男性における高尿酸血症の割合は、21.5%あるいは26.2%という報告もある(*1)。
痛風というと、「おじさんの病気」というイメージがあるが、実際の年齢構成は様変わりしている。痛風の発症年齢は、1965年の調査では50代がトップだったが、1990年代に東京女子医科大学が行った調査では、30代が最多となっている(*2)。その後、同様の調査が行われていないので最近の傾向は不明だが、大きな変化はないと見られる。20代で発症する患者も珍しくなく、女性患者も増えているという。
「若いときから食べ過ぎの食生活を続け肥満となり、尿酸値が高い状態が続いている人が増えたためだと考えられます」(藤森さん)。今や、痛風・高尿酸血症は、若いうちから気をつけなければならない病気となっているのだ。
*2 山中寿ほか 高尿酸血症と痛風. 1994;2(1): 23-29.