年齢とともに、男性ホルモンの低下から、体調が優れない、イライラする、よく眠れないという「男性更年期」の症状が表れる人は少なくない。こうした状態を放っておくと、身体機能の低下やうつ病、生活習慣病などの病気リスクが高まってしまう。男性ホルモンについて正しく理解し、どのように生活習慣を改めれば男性ホルモンが増え、ハツラツとした生活を取り戻せるのか。ポイントをまとめて紹介しよう。
テーマ別特集「男性ホルモン」
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「疲れがとれない」「意欲が湧かない」「何となく体調が優れない」「イライラする」「よく眠れない」…。そんな不調を訴える中高年男性は多い。しかし、大半の人が「仕事が忙しいから」「疲れているから」と、何も手立てを講じていないのが実情だろう。
そんな症状が出るのは男性ホルモン(テストステロン)の低下による男性更年期障害が進行しているかもしれない。
男性ホルモンは、人生の後半戦に入った男性が、その後の人生を健やかに、そして長く生きるための重要な鍵となる存在だ。男性ホルモンの低下は、体に不調をもたらすだけでなく、生活習慣病や動脈硬化、認知症などのリスクも高めてしまう。
そこで今回の「テーマ別特集」では、男性ホルモンの低下がどのような仕組みで起きるのか、対策はどうすればいいのかなどについて、ポイントをまとめて紹介していこう。
(※関連記事の一覧は最終ページに紹介しているので、より詳しく知りたい人はそちらもご覧ください)。
男性ホルモンの低下をセルフチェック
コロナ禍で、40代以上の中高年世代の男性の中に、疲れがとれない、意欲がわかない、という人が増えている。順天堂大学大学院医学研究科・泌尿器外科学教授で、日本Men’s Health医学会の理事長も務める堀江重郎さんは「人に会わなくなり、体を動かす機会が減ったことをきっかけに、男性ホルモンの分泌が減り、男性更年期障害が起こっている可能性があります」と指摘する。
主要な男性ホルモンであるテストステロンが減ることで、性欲の減退や勃起機能の低下に加え、筋力低下、関節痛、ほてり、頻尿、不眠、意欲の衰え、うつ症状など、心身に様々な不調が起こってくる。
医学的にはLOH症候群(late-onset hypogonadism=加齢男性性腺機能低下症候群)と呼ばれる病気だ。テストステロンが低下し、不調が起きても、「ただ単に疲れているだけ」「年を取ったせいだろう」などと見逃されがちだが、テストステロンの分泌が減ってLOH症候群のレベルまで落ちると、男性の心身に深刻な影響が表れ始め、やがて寿命をも左右する病気につながってしまう可能性があるのだ。