「ひと駅前で降りて歩く」「テレビを見ながら軽い筋トレをする」…これをもって「運動習慣がある」と思っている人は意外と多い。しかし、フィジカルトレーナーの中野ジェームズ修一さんは「強度の低い運動、筋肉がつかないような運動は、いくら続けても十分な成果が得られません」と断言する。では、健康診断で引っかかった数値を改善したり、カロリーを消費して減量したり、病気を予防するといった目的を達成するためには、どのような運動をすればいいのだろうか?

運動が健康にいいことは誰もが知っている。肥満を解消して生活習慣病を予防したり、寝たきりを避けるために足腰を鍛えたりするためにも、日常的に運動したほうがいいとほとんどの人が思っているはずだ。
しかし、だからと言って、誰もが効果的な運動をできているわけではない。「仕事が忙しくて時間がない」「まず何をやればいいのか分からない」などと、運動を始める前の段階で止まってしまっている人もいるだろう。
そして、一歩を踏み出して運動を始めてみたものの、成果が一向に感じられないという人はとても多い。運動しているはずなのに、思ったように痩せられない、健康診断の数値が改善しない、階段を上ると息が上がってしまう…というわけだ。
「世の中には、たくさんの健康情報があふれています。『ひと駅前で降りて歩きましょう』とか『家事をするときに動きを工夫すると筋トレになります』などはよく聞くでしょう。でもこれでは運動強度が低すぎて、運動の目的は達成できないのです」と著名なフィジカルトレーナーの中野ジェームズ修一さんは断言する。
そこで、今回のテーマ別特集では、中野さんが教える、効果的な運動を習慣化し、継続的に行うためのコツについてまとめよう。
「1日1万歩」でも、続けるだけでは十分な成果は得られない
中野さんは、「運動してもなかなか成果が得られないのは、多くの人が『運動してるつもり』になっているからでしょう」と指摘する。
「運動してるつもり」になってしまっている人は意外と多い。日経Goodayが2019年3月に行った読者アンケートでは、「運動習慣がある」と答えた人のうち、実に2割以上が運動の内容として「通勤時にひと駅分歩く、犬の散歩時に歩く」と回答している。
もちろん、ひと駅分歩くことに全く効果がないわけではない。私たちが運動する目的は様々だ。ストレスを解消したり、全身の血行を促進して肩こりや腰痛を予防するなら、運動強度の低い“ゆるっとした”ウォーキングや筋トレでもいいだろう。
「ですが、肥満の解消や、生活習慣病やロコモ対策、健診の数値改善が目的なら、強度の低いウォーキングや筋トレをただ続けるだけでは効率が悪いでしょう。忙しくて時間がない人ほど、運動強度を上げる必要があります。強度の低い運動をちょろっとやっても、それは『運動してるつもり』であって、成果は得られないのです」(中野さん)
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