予備群を合わせると2050万人いると推定されている糖尿病。発症すると目や神経、腎臓などの合併症を招き、心筋梗塞や脳卒中など死に直結する病気を引き起こす恐ろしい病気だ。ところが糖尿病は、進行するまで目立った自覚症状が出ないため「糖尿病の予備群」と告げられても、放置してしまう人が少なくない。
近年は、健康診断では見つかりにくい、食後に急激に血糖値が上がる「血糖値スパイク」がある人は、特に心筋梗塞などのリスクが高いことも分かってきた。糖尿病の予防と早期発見を中心に、最新のエッセンスをまとめた。
テーマ別特集「糖尿病」
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糖尿病は予備群のうちに手を打たないと手遅れに
「糖尿病の一歩手前、予備群ですね」と健診で告げられたが、特に目立った自覚症状はない。「今は忙しいし、まあすぐに悪くなることもないだろう」と、そのまま放置してしまった――。こんな人は少なくないのではないだろうか。
だが、そのまま放置しておくと、糖尿病に向かってまっしぐら。症状が進むとさまざまな合併症を引き起こす。さらに、近年の研究では、糖尿病と診断される一歩手前の“糖尿病予備群”の状態でも、突然死につながる危険性が高まることもわかってきている。
平成24年(2012年)の国民健康・栄養調査によると、「糖尿病が強く疑われる者(糖尿病)」は950万人、「糖尿病の可能性を否定できない者(糖尿病予備群)」は1100万人に上ると推定されている。両者を足すと2050万人に達する。糖尿病が強く疑われる人(糖尿病)は増え続けている。糖尿病予備群も高水準を維持しており、1997年と比較すると2倍近い。
糖尿病と診断されるのは、以下の4つのいずれかが確認された場合だ。
糖尿病の診断基準
● 空腹時血糖値が126mg/dL以上
● 75g経口ブドウ糖負荷試験で2時間値が200mg/dL以上
● 随時血糖値(食事の時間に関係なく測定した血糖値)が200mg/dL以上
● HbA1cが6.5%以上
※血糖値のみ該当する場合は検査が2回必要。HbA1c単独での診断は不可 (糖尿病治療ガイド2016-2017より)
「空腹時血糖値」とは、文字通り空腹時に測る血糖値。一方、「HbA1c」も同様に血糖値を示すデータだが、こちらは検査前1~2カ月間の平均的な血糖値の状況を反映する。空腹時血糖値に比べて、短期間での食事や運動の影響を受けにくい。
「75g経口ブドウ糖負荷試験」とは、空腹時血糖値を測った後に、75g相当のブドウ糖が入った試験用飲料を一気に飲んでから30分後、1時間後、2時間後の血糖値を調べるもの。ブドウ糖を一気にとることによって、その人のインスリンの効きをより詳細に見ることができる検査だ。人間ドックでオプションとして用意されていることが多い。
では、「糖尿病予備群」とはどんな状態を指すのだろうか。