ボケを寄せつけない「運動」、物忘れを防ぐ「段取りイメージ」――脳の老化を防ぐキーワード9
脳の老化スピードをゆっくりにする対策(後編)
やまきひろみ
自宅に引きこもりがちで運動もしない人ほど認知症になりやすくなる──。特別な脳トレなどをしなくても、自分の生活のあり方を改めることで、脳の老化は十分防ぐことができる! 2回に分けてお送りする「脳の老化スピードをゆっくりにする対策」。後半となる今回は、認知症や物忘れの具体的な予防法をキーワード形式で紹介していく。(前半はこちら)

認知症の主因、アルツハイマー病と脳血管障害。「アルツハイマー病を防ぐには、最も運動が有効だと研究で分かってきました。また、脳血管障害の予防には、高血圧や脂質異常症など生活習慣病を防ぐことが第一。つまり血管と血液の対策が大切です」(浴風会病院精神科医の須貝佑一さん)。
一方で、50代以降の「物忘れ」を防ぐうえで注目したいのが、脳の前頭葉が担うワーキングメモリという機能です。「二つ以上の作業や行為を並行するときに、注意力を振り分ける働きです」(京都大学大学院名誉教授の苧阪直行さん)。この機能が低下すると、掃除に夢中になっていて、鍋を火にかけていることを忘れる、というようなことも。「防ぐには、前頭葉を活性化することが大切。事前に行動の手順をイメージすることが大切です」(京都大学大学院 文学研究科 実験心理学研究室 名誉教授の苧阪 直行さん)。
以下、認知症や物忘れの具体的な予防法をキーワード形式で紹介していく。
「普段話す機会が少ない人ほど、とっさに言葉が出てこなくなったり、人の名前を思い出せなくなったりしがちです。脳を活性化し、単語や名詞などのど忘れを防ぐうえでも、人との会話はとても重要。相手との会話のキャッチボールを楽しみましょう」(北品川クリニック・予防医学センターの築山節さん)
「脳の中で、体の左右それぞれの動きをコントロールしているのが前頭葉です。脳の機能が低下すると、両手を左右別々に動かすことができにくくなります」(須貝さん)。普段から左右ばらばらの動きを意識するのはもちろん、お手玉などでトレーニングするのも◎。
「新しい趣味を始めたり、最新機器を使いこなすなど、初めてのことにどんどん挑戦を。前頭葉を活性化させる最大の秘訣です」(苧阪さん)。「相手と勝負する囲碁や将棋のような対戦型ゲームも認知症予防に効果的です」(須貝さん)。自分が楽しめることが大事!

ニンジン、トマトなど、緑黄色野菜にはビタミンCやβカロテンなどの抗酸化成分がたっぷり。野菜をたくさんとっている人はアルツハイマー病のリスクが低いという研究が。たくさん食べることでアミロイドβたんぱくの蓄積をブロックすると考えられています。