飲んだ後のカラオケはこんなにリスキーだった
喉の乾燥、タバコ、むくみに要注意
葉石かおり=エッセイスト・酒ジャーナリスト
なんと、昔から「酒焼け」だと思っていたものは、お酒が原因ではなく、タバコが原因でした。それでは、タバコの何が影響しているのでしょうか。
声帯は喉頭蓋(こうとうがい)から気管までの間の「喉頭」という場所にあります。声を出す動力源は吐き出す息で、両脇にある二本の声帯が閉まり、声帯の粘膜が振動することによって初めて声になります(図)。
「喫煙すると声帯の血管が収縮して血行障害が起こり、さらに低温やけどが加わることで声帯がむくんだり、変形したりします。喫煙は乾燥も助長するため、喉にとっては最悪の環境を作り出してしまうのです」(楠山さん)
喫煙者の多くは、お酒を飲むとタバコの本数が増えるもの。ヘビースモーカーは、声帯のむくみが慢性化し、「ポリープ様声帯」にかかるリスクが高くなるそうです。
人間が声を出すとき、声帯は女性で1秒間に200~250回、男性は100~120回振動します。「乾燥すると滑らかに動かなくなり、声が出にくくなる。しゃべり過ぎによる声がれも、乾燥によることが原因です」(楠山さん)
アルコールによって抗利尿ホルモンが抑制されることで尿の排出が多くなり、お酒を飲み進めると体は脱水気味になって、喉も乾燥します。ちなみに、お酒のつまみで塩分をとりすぎても、声帯がむくんで、声をからすそうです。
要注意! 飲酒後のカラオケの“三大リスク”
たっぷり飲んだ後、酔いの勢いに任せ、二次会、三次会のカラオケで1年間のうっぷんをはらすのを楽しみにしている人も多いはず。ところが、楠山さんによると「飲酒後のカラオケは最悪」なのだとか。
「飲酒後のカラオケは声帯にとって“最悪な三大リスク”を備えています。まず、『無理に自分の声よりも高いキーで歌う』こと。次に、『ふりつけしながら歌う』こと。そして最後は、『大声で会話する』ことです」
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