朝食に「3割麦ごはん」から! 納得できる大麦の選び方、賢い食べ方
第3回 2016年に売上倍増! みんなが大麦を買いに走った理由とは
柳本 操=ライター
肥満、メタボ対策のために、“減らしたほうがいい”と思いがちなのが「主食」。だが、主食は健康を左右する大切な食べ物だ。主食を何でとるかが、血糖値、メタボ、さらには寿命にまで影響することが近年の研究で分かってきた。
今、数ある穀物の中でも、最も注目されているのが大麦だ。近年、大麦の水溶性食物繊維の健康効果が次々と明らかになっている。では、大麦を毎日どのくらい、どのように食べればいいのだろうか。最終回では、大手穀物メーカー、はくばくに実践的な大麦の選び方、食べ方を聞いた。
今、注目の大麦、本当に売れているのか

今回の特集では、「穀物由来」の食物繊維の摂取量が、糖尿病、メタボはもちろん、がんや心筋梗塞、脳卒中、さらには総死亡リスクまで影響することを紹介した。私たちは、「穀物由来」の食物繊維を上手にとっていく必要がある。そこで今、世界的に「全粒穀物」(精製されていない穀物)が注目されている(詳しくは特集の第1回「全粒穀物で死亡リスクが下がる! 『主食の選択』が健康寿命を左右する」を参照)。
中でも、今、最も注目されているのが大麦だ。水溶性食物繊維を多く含む大麦は、腸内環境を整え、食後の血糖値の上昇を抑える効果がある。さらに、「次の食事」の血糖値上昇を抑えるといううれしい効果まである。また、大麦は水溶性食物繊維が外皮に集中しておらず、粒の中に満遍なく存在するため、精製したものでも食物繊維が豊富というユニークな特徴がある。このため、大麦の場合は「全粒」でなくても、健康効果を期待できるわけだ(詳しくは特集の第2回「内臓脂肪が減る、血糖値上昇も抑える…大麦が注目される4つの理由」を参照)。
大麦の健康効果は、日経Goodayに限らず、テレビや雑誌などで取り上げられるケースが増えている。読者の中にも、「日々の食生活に、大麦を取り入れようか」と検討している人もいるだろう。
しかし、実際に、スーパーなどの穀物売り場に足を運ぶと、店頭には「もち麦」「押麦」「胚芽押麦」など様々な商品が棚に並んでいる。そもそも、どれが大麦なのか、さらにその中でどれを選べばいいか困ってしまう。「米粒麦」というパッケージもあり、「米なの? 麦なの?」などと思った人もいるのではないだろうか。実は、これらはいずれも大麦だ。また、同じ大麦でも、もち麦と押麦では価格差がある。最近、テレビなどで取り上げられ、売り切れが続出したのは「もち麦」だが、押麦ではダメなのだろうか。
そこで今回は、実践的な大麦の選び方、食べ方を、穀物大手のはくばくに聞いていく。同社は、大麦や雑穀を原料にした炊飯用穀物、麺、粉などさまざまなラインナップをそろえる総合穀物メーカーで、スーパーで品切れが続出したことで話題になった「もち麦ごはん」も同社のヒット商品だ。
2016年度に大麦がブレイク!
大麦、雑穀、発芽玄米など数ある穀物商品の中で、今、どの商品が人気なのだろうか。そして大麦は本当に売れているのだろうか。
はくばく 市場戦略本部 商品戦略部 広報の山下奈々さんは、昨年度(2016年度)に大きな転機があったと話す。
「2016年度に大麦の売り上げが急増しました。これまで、穀物関連商品(雑穀・大麦・発芽玄米など)の中では『十六穀ごはん』などのミックス雑穀のシェアが最も高かったのですが、2016年度に大麦商品(下グラフの大麦)の販売が急増し、このジャンルで50%近くのシェアになりました。大麦商品は、金額ベースでも前年度比で2.6倍になっています。穀物関連商品全体の市場規模も前年度比40%増と伸びていますが、この伸びを大麦が牽引した形です」(山下さん)