「腰が痛い」ときの自己診断~あなたの腰痛はどのタイプ? どうすれば治る?
第3回 様々な腰痛の症状と原因を知り、治療法を理解したい
梅方久仁子=フリーライター
脊椎腫瘍~腫瘍により骨が破壊され、背中や腰に痛みを生じる
どんな病気
背骨(椎骨)にできる腫瘍。原発性のものもあるが、他臓器の悪性腫瘍が転移したものが多い。
腫瘍細胞が増殖することにより骨が破壊されて、背中や腰に痛みを生じる。また、腫瘍が脊髄や神経を圧迫すると神経障害症状が起こる。痛みや神経麻痺は日毎に悪くなる特徴があり、安静や鎮痛剤による症状の改善が得られにくい。
レントゲンでは椎骨に白い陰がみられる場合と骨が溶けてみられる場合とがある。CTやMRIによりさらに詳しい情報が得られるが組織標本を取って調べるまでは診断がつかないこともある。また原発巣診断のために血液検査で腫瘍マーカーを調べたり、シンチグラフィやペットで腫瘍を探したり、脊椎腫瘍の一部を採取して組織検査を行なうなどして診断する。
治療法
薬では治まらない痛みが続くとき、脊椎が破壊されて不安定になってしまうとき、進行性に重篤な麻痺が出現するときは手術が行われる。神経を圧迫している骨を切除し、金属のスクリュウやロッドを使って脊椎を固定する。ただし、腫瘍の悪性度、全身転移の程度、神経麻痺の程度、全身状態などから治療方法が決定されるので、手術は行わずに放射線照射、化学療法などを選択する場合もある。腫瘍の種類によっては特異的な治療により著明な治療効果を期待できるものもあるので、原発巣の診断が最優先事項である。
脊髄腫瘍~脊髄内や周囲に腫瘍ができ脊髄が圧迫される
どんな病気
脊髄内や脊髄の周辺に腫瘍ができ、神経が圧迫されて、しびれ、感覚障害、筋力低下などの神経障害症状が現れる。良性腫瘍は長い年月をかけて大きくなるのでレントゲンやCTで脊椎の一部に骨がえぐられたような変形をみることが多い。悪性腫瘍は発育が早いので神経麻痺の進行が早く、レントゲンやCTでは脊柱の変化はみられない。
治療法
脊髄周辺に発生した腫瘍は外科手術で腫瘍を完全に取り除くことができることが多く、手術による脊髄への侵襲も少なく、再発の危険も少ないので手術治療の価値が高い。
一方、脊髄内に発生した腫瘍は摘出の際に脊髄への侵襲が大きく、さらに悪性度の高い腫瘍では完全に摘出することは困難であるため再発率が高くなる。再発を防ぐために積極的に腫瘍切除を行えば、その分脊髄への負担は高まり術後に麻痺を残す結果となる。完全切除を断念して放射線照射や化学療法を追加する方が良い結果を生むこともある。
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