「腰が痛い」ときの自己診断~あなたの腰痛はどのタイプ? どうすれば治る?
第3回 様々な腰痛の症状と原因を知り、治療法を理解したい
梅方久仁子=フリーライター
非特異的腰痛~原因がはっきりしない腰痛
どんな病気
非特異的腰痛とは病名ではなく、原因がはっきりしない腰痛全般のことを指す。実は腰痛全体の85%は、この非特異的腰痛だ。
原因がはっきりしないといってもまったく原因不明というわけではない。レントゲンやMRIを使っても、腰痛の原因を特定できないものを示している。結果的に治療法が同じであれば検査に必要以上な時間と費用をかけるより、ひとまとめに考えて治療を開始したほうが患者にとってメリットが大きいということだ。
治療法
痛みが強い場合には消炎鎮痛薬の内服や外用(湿布、塗り薬)を行う。
以前は安静を保つことが勧められたが、現在では、できるだけ日常生活の活動性を維持することが勧められている。慢性的な腰痛ではストレッチと筋力増強を組み合わせた運動療法を行うことが大切だ。
心理的・社会的ストレスが原因であれば抗うつ薬や抗不安薬が腰痛の改善に有効な場合がある。整形外科的治療に止めずに心療内科によるカウンセリングを受けたり、ときには理学療法士や心理療法士を含めた連携的治療としての認知行動療法を受けることで改善が得られる場合もある。
ぎっくり腰~腰部の筋肉や関節の障害を原因とする急性腰痛
どんな病気
筋肉・筋膜の損傷や腰椎の関節捻挫などによって起こる腰痛はレントゲンやMRIで異常が見られないため、通常は非特異的腰痛に含まれる。これらのうち無理な姿勢や動作の後に急激に起こる腰痛が“ぎっくり腰”と呼ばれる。
運動不足で腰部の筋組織や腰椎の関節が柔軟性を欠いて堅くなった状態のときに起こりがちである。デスクワークや車の運転で長時間の前屈み姿勢を続けたときなどにも起こることがあり、動作の開始時に急激な体の動きは避ける注意が必要だ。
引っ越しや年末の片付けなどで腰部の筋肉が疲労した後にも急激な腰痛を来すことがあり“ぎっくり腰”の一種と言える。
治療法
通常はコルセットなどで腰部を保護して休めば数日で治まることが多い。症状が軽減すればコルセットは外してできるだけ元の生活に戻すように心がける。予防的には普段から運動をする習慣をつけることが大切だ。
また重労働を繰返したり、寒い場所や騒音のある場所での作業や心理的な緊張を伴うような作業では腰部の筋肉に疲労を生じやすく、腰痛を繰り返して慢性腰痛に移行することがある。思い当たるものから環境を改善することで、痛みが軽減したり治まることがある。
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