「腰が痛い」ときの自己診断~あなたの腰痛はどのタイプ? どうすれば治る?
第3回 様々な腰痛の症状と原因を知り、治療法を理解したい
梅方久仁子=フリーライター
骨や筋肉に異常がない心因性の腰痛もある

日本医科大学病院教授、多摩永山病院整形外科部長(撮影:中野和志)
この連載の第1回で紹介したように、痛みを起こす要因には、「侵害受容性疼痛」「神経障害性疼痛」「心因性疼痛」の3つがある。腰痛にも、腰椎や周辺の筋、筋膜、靱帯、内臓などに異常がある侵害受容性のもの、神経が障害を受けて正常に機能しなくなった時に起こる神経障害性のもの、そして心理的影響で痛みを感じる心因性のものがある。
痛みは身体の異常を知らせるために重要なものだが、人間には痛みを抑えるメカニズムもそなわっている。しかし、心理的・社会的なストレスが原因でその機能がうまく働かなくなることがある。例えばごく小さい痛みを非常に強く感じたり、痛みの原因であった病気やけがが治ったあとに痛みだけが残ってしまったりする場合がある。このような心因性腰痛(非器質性腰痛)の裾野はかなり広いと考えられている。
障害部位の違いによる腰痛の特徴
正確に識別することは困難であるが、障害部位の違いによりおおまかな特徴がみられる。- 椎間板……おじぎをして姿勢をもどすときの動作で痛みを感じる
- 椎間関節…腰を後ろにそったり、捻ったりする動作で痛みを感じる
- 筋肉………前屈みをするときや腰の筋肉に力を入れたときに痛みを感じ、暖めたり、さすったりすることで痛みが和らぐ
- 神経………腰痛だけでなく、脚とくに膝から下がしびれたり、力が入りにくいなどの症状を伴う
- 骨…………椎骨が破綻したときには強い体動時痛がみられる
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