「運動強度」の足りないウォーキングはいくらやっても意味がなかった!
【基礎編】第1回 ポイントは歩数ではなく歩幅
松尾直俊=フィットネスライター
誰もが手軽に始められる運動として、すっかり市民権を得た感のある「ウォーキング」。これまでほとんど体を動かしていなかった人であれば、散歩程度の歩きでもある程度のカロリー消費、血行促進などの効果が期待できることは確かだ。しかし、健康のために体力を増強しよう、脂肪を落とそう、という目的であれば、ただ漫然と歩いていたのでは成果は出にくい。
そこで、著名なフィジカルトレーナーであり、『フィジカルトレーナーが教える 正しいウォーキングの始め方』(大和書房)の著書もある中野ジェームズ修一さんに、ウォーキングを「運動」として行うために、最も効果的な方法を伝授してもらった。
「運動したほうがいいことは分かっている。でも、何から始めていいのか分からない…」。そんな人が最も手軽に始められる運動が、ウォーキングだ。“歩行”は人間の基本行動に組み込まれた能力。体を動かす習慣を身に付けるために、ウォーキングは最も身近な運動ということができる。
「運動は継続することが一番大切です。体が慣れていないうちに強度の高い運動に挑戦すると、故障をしたり、苦しくてやめてしまったりします。そういった意味でも、ウォーキングは運動習慣の入り口としてはいいものだと思います」と中野ジェームズ修一さんは語る。
「運動強度」が低ければ、いくら歩いても効果は期待できない!
しかし、ウォーキングは、やり方によっては想像するほど活動量が増えず、思ったほどの効果が得られないことをご存じだろうか。
「私は趣味でランニングをしますが、その最中にウォーキングをしている人にも多く出会います。そのたびに『ああ、アドバイスしたい!』という衝動にかられることがあるんです(笑)。なぜかというと、ほとんどの人の歩き方が、運動強度が低いのです。特に中高年の場合、猫背気味で下を向きながら、小股でちょこちょこ歩いている人が目立ちます。数人の仲間とおしゃべりをしながら、買い物や散歩の時と変わらない速度で歩いている人もよく見かけます。そうした歩き方だと、残念ながら、何年やっても、運動という意味での効果はほとんど期待できません」(中野さん)