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明日は変えられる。

【PR】お産で膀胱や直腸に穴が開く? 「産科フィスチュラ」の過酷な現実

アフリカを中心に困難に直面する患者への支援活動が活発化

 荒川直樹=科学ライター

図3 フィスチュラ基金がこれまでに援助を行ってきた産科フィスチュラ修復手術の件数
2009年からの9年間で、計3万883人の患者が手術を受けた(集計時点で手術予定の患者も含む)。多くの女性がつらい症状から解放された。(資料提供:フィスチュラ基金)

 フィスチュラ基金も各国でさまざまな支援活動を行ってきたが、2014年からはケニアで新たなプログラムを展開し注目を集めている。それが日本の製薬企業であるアステラス製薬の支援を受け、ケニアで実施している「フィスチュラ基金プログラム Action on Fistula」だ。

 ケニアでは、現在でも1000回の分娩で1件から2件の産科フィスチュラが生じているといわれており、年間ではおよそ3000例に上る。「Action on Fistula」は、このケニアで「産科フィスチュラ根絶」のためのモデル事業を構築しようとする試みだ。アステラス製薬は、プログラムの実行に必要な資金を拠出するとともに、モデルづくりそのものにも深く関わってきた。

 「Action on Fistula」が最初に掲げた目標は「ケニアに、できるだけ多くのフィスチュラ患者の治療を行える医療体制を築くこと」だ。では、フィスチュラ撲滅のために「まず治療ありき」なのはなぜか。グラントさんは「産科フィスチュラは、決して複雑な病気ではなく、予防も治療も実現可能です。ただ予防のためには、ケニア国内の産科医療、救急医療のインフラを整備するなど莫大な費用と時間がかかる。費用対効果を考えれば、まず患者の治療を優先すべきと判断した」と話す。

専門の外科医を育成し治療ネットワークを構築

 治療の拡大のためにまず必要なことは、外科医の育成だった。手術(フィスチュラ修復術)は、膣、膀胱、直腸などに開いた穴をふさぎ本来の機能を取り戻すためのもので、トレーニングを受けた外科医が行えば患者が治癒する率は80~90%に上る。洗練された医療器具を必要とするものではないが、技術的に難しい手術であるため、現地の外科医はフィスチュラ修復手術に進んで取り組もうとはしてこなかった。

ケニアに開設されたフィスチュラ治療センターのオープニングセレモニーでの1コマ。(写真:Georgina Goodwin)

 2014年からのプログラムでは、6人の外科医に研修を行い、FIGO(国際産婦人科連合)が定めた基準を満たすフィスチュラ専門外科医を養成した。これによってケニアでの外科手術の提供能力が大幅に拡大したという。また、ケニア国内6カ所の治療センターで常時、手術治療を行うフィスチュラ治療ネットワークを構築することもできた。

 グラントさんは、「アステラス製薬の支援で実現した治療ネットワークにより、ケニアでの治療状況を一変させることができた。治療数はプログラムの最初の3年間が終了する2017年の4月末までに2554人となった。これはプログラム開始当初の目標の2倍以上であり、大変驚いている」と話す。

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