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ささいなことで怒らない「寛容力」のコツ

どんな人も、疲れると「寛容力」が下がる

イライラしたら、まずは休むのが効果的――『寛容力のコツ』の著者に聞く(第3回)

 柳本操=ライター

家族がいる場合、なかなか3日連続で休むのは気が引けるということもあるかもしれません。

下園さん 集中的に休みをとることで、気力も体力も取り戻したい、と真剣に伝え、理解してもらいましょう。家の中にいるとゆっくり休めない、という場合は、ビジネスホテルなどに泊まる人もいます。自分のために必要不可欠な経費だと思えば、実行できるのではないでしょうか。

人間はきわめて動物的な生き物

「人は完璧ではないし、一定でもない、一貫性もないもの」という著書の言葉に、なるほどと思いました。なのに、完璧であること、誰に対してもいつも穏やかに対処できることを理想とするから、「寛容力がない」自分を責め、さらに寛容力を落としていくという負のループにはまるのですね。

下園さん 一生懸命働いてきた人ほど、いつも一定であり、完璧に、一貫性を持ちたい、と努力してきたはずです。自分の心のどこかを麻痺させてでも頑張る技術を磨いてきたのです。

 しかし、ちょっとした苦痛があっても、我慢、我慢、と押し込めることが続くと、いつか決壊するときがきます。

 気持ちが決壊して、人に気持ちをぶつけてしまった。ああ、ダメになってしまった。そんなときこそ、「人間ってこうなるんだな」という現実を知るチャンスなのだと思ってください。心身ともに健康でパフォーマンスの高いときには、人は同じことを他人にも期待します。人の弱さを理解できません。しかし、人間の弱さを身をもって知ると、次には他人への尺度もゆるめていくことができます。だからこそ、まず自分に優しくなることによって、人にも優しくなれる。寛容力を高めていくには、自分に優しくなることが近道です。

人間の本質は変わらない、という考えもあります。一定の年齢を過ぎても、物事の捉え方を変え、寛容力を高めていくことはできるでしょうか。

下園さん もちろんです。繰り返しますが、人はこうあるべき、ということをみなさんは子どもの頃に学校で習いすぎていて、その価値観を基準に、人を、そして自分を評価するクセがついてしまっています。

 私はたくさんの人と接し、自衛隊の中で、戦場に行ったら、あるいは災害時に人はどうなるのか、ということも学んできました。その結果知ったことは、人間はきわめて動物的であるということ。疲れ次第で機嫌も変わるし、意見もコロコロ変わるのが人間です。今日は「NO」と言っても、明日は「YES」と言う。それくらい、常に揺れ動くのが人間なのだということをお腹の底から理解できれば、人に対しても優しくなれるものです。

(インタビュー写真:菊池くらげ)

下園壮太さん
心理カウンセラー、MR(メンタルレスキュー)協会理事長、同シニアインストラクター
下園壮太さん 1959年、鹿児島県生まれ。防衛大学校卒業後、陸上自衛隊入隊。1996年より陸上自衛隊初の心理教官として多くのカウンセリングを手がける。自衛隊の衛生隊員(医師、看護師、救急救命士など)やレンジャー隊員などに、メンタルケア、自殺予防、コンバットストレス(惨事ストレス)コントロールについての指導、教育を行う。2015年に退官し、現在は講演や研修、著作活動を通して独自のカウンセリング技術の普及に努めている。近著に『寛容力のコツ』(三笠書房 知的生きかた文庫)がある。公式HP

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