あなどれない「踏み台昇降」と「カーフレイズ」の筋トレ効果
第2回 日常の「段差」を利用すれば、こんな運動もできる!
松尾直俊=フィットネスライター
ジメジメした季節や夏の暑い日にも屋内で手軽にできるエクササイズを、“骨格筋評論家”としても活躍する日本体育大学准教授の岡田隆さんに教えてもらう本特集。第1回「『階段』は最高の筋トレ! 一段飛ばしでお尻を引き締めよう」に続き、今回は、段差を使った簡単エクササイズを紹介してもらう。
階段を積極的に利用するとかなり有益な運動ができることは、前回「『階段』は最高の筋トレ! 一段飛ばしでお尻を引き締めよう」の話で分かってもらえただろう。梅雨どきや真夏に、外に出るのが面倒だと思っても、室内で十分に体を動かせば、筋肉を鍛え、憂鬱な気分を吹き飛ばすことができるのだ。
「階段もそうですが、段差がある場所であれば、工夫次第でもっと体を鍛えることができます。そのひとつが、一段あればできる『踏み台昇降』です。積極的にやれば、下半身の筋力トレーニングになるのと同時に、有酸素運動の要素も入るので脂肪燃焼を促進する効果が期待できます」(岡田さん)

短時間の踏み台昇降程度では、脂肪燃焼効果は期待できないと思っていないだろうか。一般的に、20分以上の運動をしないと脂肪は減らないと思われているが、実はそれは勘違い。運動開始直後から、脂肪も分解されてエネルギーとして供給されている。ただ、筋肉中などに蓄えられた糖(筋グリコーゲン)をエネルギーとして使うか、脂肪が分解されて作り出されたエネルギーを使うか、その比率は運動強度によって違う。つまり、どんな運動でも最初から糖と脂肪は使われていて、運動の強さによってその比率が変わるというだけだ。
踏み台昇降は心肺機能を高め、下肢の筋力を強化する
踏み台昇降と聞くと、小学校や中学校の体力テストでやらされた記憶がある人もいるだろう。踏み台を3分間上り下りした後の心拍数をカウントし、その回復具合から、心肺能力や持久力を調べる目的で行われていたテストだ(1999年からは文部科学省が実施する体力テストの項目からは除外されている)。筆者も経験があるが、当時は「ただ疲れるだけの退屈な運動だ」と思ったものだ。
「確かに踏み台昇降は、ひたすら踏み台を上り下りするだけで、移動もせず、何の生産性もないように感じますよね(笑)。でも、先ほど説明したように、脂肪燃焼を促進するほか、心肺機能も高められるし、下肢の筋力強化という点でも、室内で手軽にできるとても良いトレーニングなんです。
小柄な女性であれば階段一段分の高さから始めてみるといいでしょう。男性なら二段分の高さで、かかとから踏み出して上り下りを繰り返します。二段から始めて、キツくなったら一段にするという方法でも構わないと思います。片足最低10回は上り下りするようにしたいので、1セット30秒程度はやることを目標にすればいいと思います」(岡田さん)
![]() | 踏み台昇降は下半身を強化し、心肺機能を高め、脂肪燃焼を促進する効果がある。 |