ダイエットやメタボ対策の定番になった“緩やかな糖質制限”ロカボ。このロカボを提唱したのが糖尿病専門医の山田悟さんです。本連載では、「食べる喜びをしっかり味わいながら健康になる」ことが何よりも大事、と話す山田さんが、ロカボについて医学的根拠から説き起こし、わかりやすく伝えていきます。
今回のテーマは、「糖尿病」。山田さんが専門医として日々、臨床現場で肌で感じている糖尿病の現状について話していただきます。

本連載では、「血糖値の上昇を抑える」ための食べ方や運動の仕方などをお伝えしてきました。今回のテーマは、私の専門分野で、「ロカボ」(*1)と密接に関係している「糖尿病」です。
みなさんは糖尿病というと、どんなイメージをお持ちでしょうか。食べ過ぎや運動不足など“不摂生な生活”を続けるとかかってしまう病気。そして、一度かかってしまうと、様々な合併症を引き起こす怖い病気……など、ネガティブなイメージをお持ちなのではないかと思います。中には糖尿病にだけはなりたくない!という人もいらっしゃるかもしれません。
私は糖尿病専門医です。日々糖尿病の患者さんと接する中で、読者の皆さんに正しく知っておいていただきたいと思うことがいくつかあります。そこで、今回と次回の2回に分けて、糖尿病について解説していきましょう。今回は、糖尿病が、わが国においていかなる状況にあるかをお伝えしたいと思います。
戦後のモータリゼーションの進行とともに、糖尿病患者が増加
まず、わが国における糖尿病患者数の推移を見ていきましょう。

上のグラフを見ていただけると一目瞭然ですが、戦後の自動車の保有台数の増加に比例して糖尿病が増加してきたことがわかります。
日常生活で運動量が減ったこと、そして同時に進んだ食生活の大きな変化が影響しているのです。糖尿病は、「血糖値が上がりやすい体質」と「生活習慣」の足し算によって発症します。運動不足と食事内容の偏りという生活習慣によって、糖尿病が発症していくのです。