ダイエットやメタボ対策の定番になった“緩やかな糖質制限”「ロカボ」。このロカボを提唱したのが糖尿病専門医の山田悟さんです。本連載では、「食べる喜びをしっかり味わいながら健康になる」ことが何よりも大事、と話す山田さんが、ロカボについて医学的根拠から説き起こし、わかりやすく伝えていきます。
今回は、多忙な人が外食時にロカボを実践する際のポイントをお伝えします。実は、メニュー選びを一工夫するだけで、簡単にロカボを実現できます。
「外食でロカボ」は難しくない
前回は、「1食当たりの糖質の量を20~40gに抑える」というロカボを実践するうえでの基本ルールをお伝えしました。以下の3大ポイントを押さえていけば、ロカボは簡単に実現できます。
- <ロカボ実践の3大ポイント>
1. まずは主食(ごはん、パン、パスタ、麺類すべて)を半分にする
2. おかずはたっぷり。ただし、イモ・根菜は控えめに
3. 「隠れ糖質」である甘い調味料などに注意する
ロカボを実践するとき、家での食事であれば、ごはんを盛る量を少なくしたり、メニューを工夫するなど、自らの手で取捨選択することが可能です。
しかし、「昼食は外食が基本」「夕食は会食が多い」という方も多いと思います。特に、慌ただしい昼休みにはお店選びの選択肢も限られるもの。また、夜の会食では、多くの人が同じメニューを食べることになり“自分で選択できないことが多い”ため、「ロカボは難しいのでは…」と思われるかもしれません。
でも、ご安心ください。ちょっとしたポイントを意識するだけで、ロカボは簡単に実践することができます。
ロカボメニューがどんどん増えている!
特に最近では、外食チェーン店で健康志向のメニューに積極的に取り組むところが増えていて、ロカボを実践しやすくなりました。
例えば、牛丼チェーン店の「すき家」が提供している、米粉とこんにゃくの麺を用いた「ロカボ牛麺」や「ロカボ牛ビビン麺」は、1食当たりの糖質がそれぞれ22.0g、28.5gと、おにぎり1個より少ないのです。すかいらーくグループの「ジョナサン」では麺メニューの一部で「糖質0麺」に変更できるようにしていますし、「ガスト」でも糖質を45%カットしたほうれん草麺のメニューを用意しています。ほかにも、「ジョリーパスタ」では、糖質25%カットの「低糖質フェットチーネ」を提供していますし、うどんチェーン店の「久兵衛屋」でも、低糖質で食べ応えのある「こんにゃく麺」を利用したロカボ麺メニューがあります。

このように、ロカボメニューを用意するチェーン店はどんどん増えています。上で紹介したのは、糖質制限メニューを扱っている店の一部です。みなさんが普段お使いのお店で、糖質制限メニューを見かけたという方も多いのではないでしょうか。企業の取り組みやロカボ食の新製品、ロカボレストラン情報などは、ロカボオフィシャルサイトで随時更新していますので、一度アクセスしてみてください。
このように、ロカボの考え方に賛同くださり、メニューにロカボメニューを取り入れてくださる企業が増えているのはうれしい限りです。ただ、誤解しないでいただきたいのは、こうした専用の「ロカボメニュー(糖質制限メニュー)」がないからといって、ロカボを実現できないわけではないということです。
例えば、ファミリーレストランなら、ステーキやハンバーグなどのグリルものを頼んで、セットでごはんやパンをつける、などというのが一般的な注文の仕方だと思います。ここでセットのごはんやパンの量を半分にすれば、ロカボになります(付け合わせのポテト、コーンなどに注意)。
ラーメン、パスタなどの麺類、あるいは丼ものは、糖質が多い麺やごはんが前提となるためロカボを実現するのは難しいのですが(お店のほうで専用の低糖質麺などを用意する必要がある)、ファミリーレストランのようにメインの料理とごはん/パンが分離しているところであれば、ロカボを実現しやすいといえます。
同様に、ごはんが分離している定食は、ごはんを減らしさえすればロカボになります。注文する際に、「ごはんは半分(半膳)にしてください」と言いましょう! 中には、ご飯を減らすと料金が少し安くなるお店もあります。できればこういうお店が広がってくれるといいなと思っています。