ダイエットやメタボ対策の定番になった“緩やかな糖質制限”「ロカボ」。このロカボを提唱したのが糖尿病専門医の山田悟さんです。本連載では、「食べる喜びをしっかり味わいながら健康になる」ことが何よりも大事、と話す山田さんが、ロカボについて医学的根拠から説き起こし、わかりやすく伝えていきます。ロカボは、コツさえつかめば意外と簡単に実践できる食事法です。今回は「これさえ押さえておけばOK!」というロカボ実践の3大ポイントをお伝えします。

前回は、緩やかな糖質制限である「ロカボ」の効果について紹介しました。ロカボにより血糖値が下がる、太っている人ほどやせるというメリットや、腎機能への悪影響など健康への悪影響はないことも明らかになっています。
今回はいよいよ、実際にロカボ食を実践するうえでのポイントをお伝えしたいと思います。糖質を制限するといっても、どのくらい控えればいいのか、そしてその根拠も気になるところでしょう。
実際にロカボを始めてみて、初めて気づくポイント、さらに陥りがちな罠もあります。例えば、「1食当たり糖質40g以内に抑えましょう」などといっても、具体的にごはんをどのくらい食べていいのか、即答できる人はあまりいないのではないでしょうか。また、ごはんなどの主食(もしくは甘いもの)だけを注意していればいいかというと、そうではありません。気づかないうちに、思わぬ食材から糖質をたっぷりとっているということもあります。見た目は糖質が少なそうでも、実はしっかり入っている「隠れ糖質」食材が結構あるのです。
ロカボでは、どのくらい糖質を控えればいい?
私が提唱する「ロカボ」という食べ方は、以下のように定義しています。まずは、これをどのように決めたかについて、説明させてください。

本連載で繰り返し登場していますが、ロカボは、1食当たり糖質を20~40gにして、それとは別にスイーツや間食分として糖質10g分をプラスして、1日の糖質摂取量をトータル70~130gにする、という食事法です。気にする必要があるのは糖質のみで、血糖値を上げないたんぱく質や油は満足するまで食べてOKです。
現在の日本人は平均的に、1食で90~100g、1日270~300g程度の糖質をとっています。ロカボでは糖質をその半分弱程度に抑える必要がありますが、あくまでも「緩やか」な糖質制限であることが重要なポイントです。糖質は制限内に収めれば食べて大丈夫。炭水化物を完全に抜く必要はまったくなく、むしろ適量まではとったほうがいい。極端な我慢をする必要がないので、無理なく、続けやすいのがロカボです。
このロカボによって、満腹感を感じるまでしっかりと食べられて、引き締まった体形になり、血糖が改善し、脂質も改善し、血圧も改善します。下のグラフは、糖質が1食100gの普通の食事と、1食40gのロカボ食で、食前・食後の血糖値の上昇を比較したものです。ロカボ食では血糖値の上昇が緩やかに抑えられていることがおわかりいただけるでしょう。