一般に知られている「消化や吸収」以外に、腸には複雑かつダイナミックな生命維持のための働きがあることが解明されてきた。その一方で腸の病気は増えており、中でも潰瘍性大腸炎やクローン病など、腸が傷ついてただれる「炎症性腸疾患」は、ここ30年間で10倍以上に増加したという。本特集では、腸の驚くべき働きと腸の健康を損なう病気、さらには腸の病気を早期発見するための検査法について、炎症性腸疾患治療の第一人者である東京医科歯科大学理事・副学長の渡辺守さんに3回にわたって聞いていく。
渡辺 守(わたなべ・まもる)さん
東京医科歯科大学理事・副学長

東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科消化器病態学/消化器内科教授。医学博士。1979年慶應義塾大学医学部卒業。米ハーバード大学医学部留学、慶應がんセンター診療部長を経て、2000年より東京医科歯科大学消化器病態学教授、2017年4月に同大学の理事・副学長に就任。2007年より厚生労働省難治性疾患克服研究事業「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究班」班長、2008年より世界中の炎症性腸疾患臨床・研究専門家の会IOIBDのメンバー(60名定員制)に選ばれ、世界の炎症性腸疾患治療の標準化に向け、日本の代表として活動中。著書に『
潰瘍性大腸炎・クローン病がよくわかる本』(講談社、2016)など。