<痛風体験記>のんべえライター、痛風発作を起こす!
第5回 盲点だった尿酸値、原因はアルコールの飲み過ぎか
伊藤和弘=フリーランスライター
本特集では、痛風・高尿酸血症の現状から、尿酸値を減らすポイント、食生活の改善法を紹介してきた。最終回となる今回は、日経Goodayでもおなじみのライター、伊藤和弘さんの痛風体験記をお届けする。
4月11日、伊藤さんから「痛風になり取材に行けない」との一報を受けた編集部は体験記執筆を依頼、ここに渾身の1本が完成した。「3日間は歩けなかった」「医師の冷たい態度」など、実際になった人しか分からない体験談だ! 読者諸兄も“こうならないように”生活習慣には気を付けていただきたい。
いつかこんな日が来るんじゃないか――。そんな予感は以前からあった。
不肖・ライター伊藤、知命(50歳)を迎えた翌月の2017年4月11日に、生まれて初めての痛風発作を体験。知り合いにも経験者は何人かいる。痛い、とは聞いていた。発作が起きた当日は出社など無理で、あまりの激痛に救急車を呼んだという者もいた。
私は救急車こそ呼ばなかったが、確かに痛い。マジで痛い。歩けないくらい痛かった。
おりしも「日経Gooday」で痛風・尿酸特集をするという。そこで私が痛風発作を発症したときの状況を具体的に報告しよう。読者諸兄にはぜひ、他山の石としていただきたい。
ビールは毎日のように飲んでいた
医療・健康系の記事を書く機会が多いこともあり、健康にはそれなりに気をつけている。40歳になったときタバコもやめたし、週1~2回ほどスポーツクラブにも通っている。ライターのくせに早寝早起き、徹夜など10年近くしていない。昨年は胃と大腸の内視鏡検査も受けてきた。
しかし、酒だけはやめられない。いったん調子に乗ると、とことんまで飲んでしまう。40代になると吐かなくなった代わり、簡単に記憶が飛ぶようになった。財布や携帯電話をなくすこともしばしば。自慢じゃないが、42歳厄年のとき泡盛をしこたま飲んで路上で倒れ、警察に保護されたことだってある。
大酒の影響は確実に出ている。肝機能の指標となるγ-GTPは30歳になる前から3ケタ。かれこれ20年間、110~170IU/dLの範囲で“安定”しているが、言うまでもなく基準値は2ケタだ。原料となるアルコールをまめに補給しているせいか中性脂肪も基準値(150mg/dL未満)の倍以上あるし、最近は血圧も高くなってきた。これで腹回りが85センチあれば、完璧にメタボリックシンドロームということになる。
飲み過ぎないように気をつければいいのだが、これが難しいことは酒飲みのご同輩なら理解してくれることと思う。一人酒ならともかく、大勢で飲んでいると、どうしても勢いがついてしまう。そこでここ数年、私は人と飲むときはもっぱらビールを飲むことにした。
これまでの経験上、ビールだけなら、いくら飲んでも記憶が飛ぶことはない。最初にビールをたくさん飲んでおくと、日本酒やワインに移行しても量が抑えられる。私にとってビールは酒ではない。人に会う予定がなければ、昼食時にビールを頼むことも珍しくなかった。これが痛風のきっかけになったのは間違いないだろう。ご存じの通り、ビールには尿酸の原料となるプリン体がしっかり含まれている。そして、そもそもアルコールの摂取自体が尿酸値を上げるのだ(詳しくは、「尿酸値の敵はビールではなく、アルコールそのもの」をご参照ください)。