効果アップにはコツがある! 「健康運動」6つのウソ・ホント
運動はいつする? 有酸素と無酸素の違いは?…素朴な疑問に答えます!
北村昌陽=科学・医療ジャーナリスト
健康寿命の延長につながる運動法を紹介する本特集。ここまで「動脈硬化」「糖尿病」に役立つ運動を取り上げてきたが、今回は少し趣向を変えて、運動に関するいろいろな疑問に答えていきたい。知ってるつもりでも意外に知らない素朴な疑問や、実際に運動をするときの注意点などを、あの伝説的なフィットネスゲーム「Wii Fit」(ウィーフィット)監修者であるパーソナルトレーナーの松井薫さんに教えてもらった。

一口に「運動」と言ってもいろいろな種類があり、体への作用もさまざま。「その中で、健康づくりの目的で行われる代表的なものは、有酸素運動と筋トレ、ストレッチでしょう」と松井さん。
「有酸素運動」とは、ウォーキングやランニング、水泳といった、比較的軽い負荷で、長時間続けられる運動のこと。脂肪を効果的に消費できるのが特徴だ。ただし、同じ「走る」や「泳ぐ」でも、短距離レースのようにペースを上げてしまうと、体内のエネルギー利用が「無酸素運動」に切り替わってしまって脂肪燃焼の効率がダウンする。「軽い負荷」であることが、有酸素運動の条件だ(詳しくはQ4で)。
「筋トレ」は、正式には「レジスタンス運動」といって、筋肉に負荷をかけて筋力アップなどを図るトレーニング。ダンベルなどの器具を使うやり方と、スクワットや腕立て伏せのように自分の体重を使って負荷をかけるやり方がある。
「ストレッチ」は、筋肉の緊張を解いたり柔軟性を高める目的で、引っ張って伸ばす運動。筋肉をじわーっと伸ばす静的ストレッチと、伸張・収縮をリズミカルに繰り返す動的ストレッチがある。
「健康づくりの運動として、長い歴史があるのは有酸素運動です」と松井さん。ダイエットに用いられるほか、高血圧や糖尿病といった生活習慣病の改善を目指す運動療法でも、定番だ。
また最近は、筋トレの健康効果もかなり明らかになっている(関連記事:「やればやっただけ効果アリ! 糖尿病対策に『足の筋トレ』」)。筋肉を刺激することでエネルギー消費量を増やし、特に脂肪の代謝を活性化させる作用があると考えられている。
「ストレッチには心身のリラックス効果が期待できますが、どちらかといえばウオームアップやクールダウン的な位置づけ。健康づくりの運動としてベストチョイスは何かと言われれば、有酸素運動と筋トレをバランス良く組み合わせることでしょう」(松井さん)。松井さんがパーソナルトレーナーとしてメニューを作るときは、この2つをミックスしたプログラムになるように意識するという。