その方法、逆効果かも? 薄毛対策8つのウソ・ホント
湯シャン、遺伝子、ワカメ、ヘルメット…髪への影響度は?
中能泉=フリー編集者・ライター
「ワカメを食べなさい。髪に良いから」と言われて育った人は多いはずだ。まさに筆者もそのひとり。「〇〇をすると髪が伸びる」「〇〇をしたら髪が生えた」「〇〇は髪に悪いらしい」と髪にまつわる話は実に多く、まるで都市伝説のように語り継がれているものもある。果たしてどれが本当で、なにが間違っているのか。シロクロはっきりつけるべく、専門家に聞いてみた。

Q1. 抜け毛が気になる。シャンプーは毎日するべき?
髪にとっては、毎日する必要はない
毎日のシャンプーを習慣にしている人にとって、ちょっと耳を疑うような話かもしれない。「日本人は髪の毛を洗い過ぎている」と東京医科大学皮膚科教授の坪井良治氏はいう。「髪の毛を洗わないと気持ちが悪い」「ニオイが気になる」と毎日洗うのは、頭皮と髪の毛にとってはあまり良くない行為らしい。「洗い過ぎると、頭皮が乾燥し、フケが出やすくなる。髪も乾燥してパサパサになる」と坪井氏は警鐘を鳴らす。
そればかりか、髪の洗い過ぎは薄毛の原因になるというから驚く。髪を洗う行為自体は、毛穴の奥で髪をつくり出す「毛包」(もうほう)には影響を与えないと考えられてきたが、「洗い過ぎによって必要な皮脂が失われ続けると、毛包が小さくなる可能性がある」と坪井氏。毛包が大きく育つことで髪の毛は太く長く成長するが、毛包が小さくなるとそこから出てくる髪の毛が細く短いまま成長せずに抜けてしまう。
ちなみに、坪井氏のシャンプーペースは「週2回」だという。薄毛が気になる人は、シャンプーを週に2~3回に減らしてみてはいかがだろうか。
Q2. お湯で髪を洗う「湯シャン」を勧められたが、シャンプーを使わないと、毛穴に脂が詰まって、ますます毛が抜けるのでは?
頭皮の皮脂は抜け毛の原因にはならない
シャンプーを使わずお湯だけで髪を洗う「湯シャン」が、SNSなどで再び話題だ。海外では「No Poo(ノー・プー)」というシャンプーを使わない洗髪法も登場している。「頭皮の洗い過ぎ」を憂慮する坪井氏は、「お湯でも汚れは落ちるし、皮脂を除去し過ぎないという点でも良いのでは」という。頭皮の脂は、薄毛の原因になるのではと悪者にされがちだが、「皮脂が悪さをすることはまずない」と坪井氏。皮脂は良質な脂で、むしろ毛髪を守っているという。
ただし、皮脂が過剰になるとそれをエサに常在菌(*1)が増え、「脂漏性皮膚炎」という炎症を引き起こすことがある。頭皮にかゆみがあったり、湿疹がある場合は放置せずに専用の薬を塗るか、医療機関を受診しよう。「ただ、頭皮トラブルを抱えて受診に来る患者さんで脂漏性のケースは男女とも1割程度。女性の6割、男性の5割が洗い過ぎにより乾燥している状態」と坪井氏。
湯シャンの場合、湯の温度が重要で、高温だと皮脂が取れ過ぎるため、38~40℃のぬるめのお湯で。また、湯シャンのあとには、髪の毛の乾燥を防ぐためにリンスやコンディショナーを忘れずに使おう。頭皮の乾燥が気になる場合は、「頭皮に椿油などの良質のオイルを塗ると乾燥が防げる」(坪井氏)。
Q3. 髪を結ぶと髪の毛が伸びる?
伸びるどころか、薄毛の原因に
「髪を早く伸ばしたいなら結ぶといいよ」。長い髪を後頭部で一くくりにする「ポニーテール」などで、髪を強く結ぶことで髪が伸びるという話は、特に若い女性の間で長年にわたり語り継がれている。毛根にある毛乳頭が刺激されて髪が伸びるという噂まであるが、これはまったくのウソ。髪をきつく結ぶことで髪は伸びるどころか、薄毛の原因になる。「牽引(けんいん)性脱毛症」というのがそれで、ポニーテールや束ねた髪を丸くまとめる「シニヨン」などで長年にわたり髪の毛を引っ張ると、髪に負担がかかり、切れ毛や抜け毛の原因に。抜け毛が気になる人は、髪を結ぶのをしばらくやめてみるといいかもしれない。