実は女性の方が深刻だった!? 最新版・薄毛のメカニズム
ホルモン関与は男性だけ、ヘアサイクルの乱れ方に男女差
中能泉=フリー編集者・ライター
薄毛に悩む男性は多いが、最近では女性にとっても薄毛は大問題。ちまたには、さまざまな育毛剤やヘアケア法が溢れているけれど、本当に効果のあるものは存在するのだろうか。そもそも男性と女性で、薄毛になるメカニズムは違うのだろうか。悩みの薄毛を解決するべく、薄毛治療の最前線をじっくりお伝えしよう。
薄毛の「パターン」は男女でこんなに違う
髪が抜ける原因やそのメカニズムについては、近年、着々と研究が進んでいる。男性も女性も、後頭部の髪が薄くなることはまれで、薄くなるのは額や頭頂部が中心。ただし、薄毛が生じるパターンは異なる。
男性の薄毛(男性型脱毛症、AGA)は、髪の生え際が後退したり、頭頂部の毛がなくなったり、両サイドを残してツルンとした状態になるというパターンが大半だ。発症時期には幅があるが、多くは20~30代から薄くなり始める。一方、女性の薄毛は、40歳ぐらいから頭頂部を中心に薄くなっていき、年々、抜け毛や頭頂部などのボリュームの低下が悩みの種になっていくのが特徴だ(図1)。
- 男性の薄毛、女性の薄毛には、それぞれ特有のパターンがある。
- 男性は額や頭頂部が薄くなり、女性は頭頂部が広範囲に薄くなる。
女性の薄毛にホルモンは無関係!?
男性も女性も特定のパターンで毛が薄くなるという点では同じだが、「薄毛になる原因は男女で明らかに異なる」と、東京医科大学皮膚科主任教授の坪井良治氏はいう。
男性の薄毛は、よく知られているように男性ホルモンの影響を強く受ける。男性の薄毛の主原因となるのは、男性ホルモンのテストステロンが5αリダクターゼという酵素で変換されて生じる「ジヒドロテストステロン(DHT)」というホルモン。これが髪の毛1本1本を生み出す毛乳頭細胞の男性ホルモン受容体にくっつくと、髪の生え代わりの周期(ヘアサイクル)が乱れて、髪の成長が止まってしまう。この受容体は後頭部や側頭部にはほとんど分布していないため、薄毛は、主に額や頭頂部に集中する。
一方、女性の薄毛の原因は、男性ほどシンプルではない。「閉経後の薄毛であれば男性ホルモンの影響も受けるが、男性ほどはっきりした関連性は認められない。女性ホルモンについてもその作用はよく分かっていない。さらに、加齢によって毛包が小さくなることや、血流の悪化、栄養不足など、女性が薄毛になる要因は多岐にわたる」と坪井氏は話す。
- 男性の薄毛の主原因は男性ホルモン。
- 女性の薄毛は男性ほどシンプルではなく、原因は多様。
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