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こちら「メンタル産業医」相談室

年末年始から始めたい 「冬うつ」予防の4つの策

第18回 こちら「メンタル産業医」相談室

 奥田弘美=精神科医(精神保健指定医)・産業医・作家

 なぜかというと日本人の働く人の多くは、正月休みが入るために年末に仕事の日程が過密になりやすいうえ、忘年会シーズンも重なるために夜の付き合いも増えます。そのため正月前に睡眠不足や疲労をためる人が多いのです。

 そうした疲労状態のまま、わずか1週間弱の冬休みに人混みを縫って帰省したり、久しぶりに会う家族や旧友と夜遅くまで飲酒したり、寒空の下で初詣に出かけたりすることで「睡眠不足」や「疲れ」をさらに重ねてしまいます。

 年末年始の休みがもう少し長ければ、正月行事で乱れた生活リズムを戻し、疲労を回復する猶予が見込めるのですが、ごく一部を除き1月4日や5日が仕事初めという人がほとんどです。その結果、旧年の疲れを引きずったまま年始の仕事がスタートし、3月の決算期に向けて仕事がどんどん過密になっていく…というふうに、さらなる疲労を加速する流れに引き込まれてしまうのです。

 疲労が蓄積しきった状態のところに、インフルエンザやノロウイルスの感染が重なって体調を大きく崩したり(肉体的ストレス)、取引先や仕事上でのトラブルで大きな精神的ストレスがかかったりしたときが非常に危険です。本来ならばストレスをはね返すことができる人でも、体力が落ちて過労状態になっているとストレス耐性が落ちてしまっています。

 潜在的な過労状態にあるところに、肉体的または精神的ストレスがガツンとかかることを契機に、本格的に自律神経系バランスが崩れてしまい、不眠、胃腸障害(胃もたれ、腹痛、下痢、便秘)、めまい、食欲不振、ひどい倦怠(けんたい)感などが出現して、うつ状態に移行していくことが少なくありません(過労の怖さについては、第5回「過労はサイレントキラー、気付かぬうちに体を蝕む」もご覧ください)。

冬は健康な人でも疲れやすいワケ

 そもそも12~2月の極寒期は、全ての人間にとって「寒さ」という環境ストレスがマックスにかかっている時期です。ただでさえ自律神経系は、外界の寒さに対して体温や血圧を一定に保つためにフル活動となり負担がかかっています。

 また人間は本来、昼行性の動物であり、日中に活動して夜間に睡眠をとるという活動の概日リズムを有しています。人間の活動の概日リズムは、季節の影響を受けることが知られており、日照時間が長く、気温が高い夏季には睡眠時間が短くなり、その逆の冬季には夜間睡眠時間が延長する傾向があります(*1)。つまり12~2月の極寒期は、健康な人であっても環境ストレスのため疲れやすく、生体リズム的にも睡眠時間がよりしっかり必要となり、睡眠が不足すると通常以上に疲れもひどくなりやすいのです。これらを考慮すると、冬季は十分に睡眠と休息をとり、普段より「ゆったりめの活動モード」に本来は切り替えるべきだといえるでしょう。

*1 白川修一郎ら. 日本人の季節による気分および行動の変化.精神保健研究. 1993;39:81-93.

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