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天国と地獄を味わった武将・宇喜多秀家に学ぶストレス対応術

第29回 ストレス対処に有効な「3つのR」

 奥田弘美=精神科医(精神保健指定医)・産業医・作家

【ストレス対処に有効な「3つのR」】

●「Rest: 休息と睡眠」
しっかり休息や睡眠をとり、心身を休ませる時間を持つ
●「Recreation: 気晴らし」
スポーツ、楽器演奏、ガーデニングといった遊びや娯楽を通じて気分転換をはかる
●「Relaxation: くつろぎ」
親しい人と会話を楽しんだり、自然の中でのんびりしたり、瞑想やストレッチをしたりして心身の緊張をほぐす。

 合戦に駆り出されていたエリート大名時代、秀家がどのくらいの睡眠や休息をとっていたのかはよく分かりませんが、Recreationについては、能にハマったくらいですから、若いころから得意だったことは確かです。また妻の豪姫とは仲睦まじく子宝にも恵まれたようですから、Relaxationもそれなりに家庭で謳歌できていたことでしょう。

 のちに八丈島に島流しが決まってからは、ストレスフルな逃亡生活から解放されてRestはしっかり取れたはずです。和歌や釣り、温泉といったRecreationも時々に楽しめていたようですし、島民と家族ぐるみの交流を行うことでRelaxationも得ていたようです。

 宇喜多秀家はこのようにしてみると、何不自由のないリッチな若殿に生まれながらも受け身ではなく、主体的に豊かな趣味を楽しむ好奇心と行動力を持ち、かつコミュニケーション力に優れた人柄であったことがうかがえます。武将という「職務」に没頭してワーカホリックにならずに、様々な分野の人々と楽しく交流する能力に長けていたからこそ、自分の置かれた時々の環境においてもストレスをコントロールしていけたのではないでしょうか?

 現代社会に暮らす我々も、秀家ほどの目まぐるしい急転直下ではないものの、時には不本意な異動や家族の事情によって望まない環境の変化にさらされることがあります。そんなときには、この秀家の生きざまを思い出しつつ、その場所で可能な3つのRを積極的に見つけていくとよいのではないかと思います。

 秀家の生涯を眺めていると、前半のハイプレッシャーなエリート武将時代も、後半のハイストレスな流人時代も、どこかに「屈託のなさ」「朗らかさ」といったニュアンスが感じられるような気がしてなりません。

 ちなみに、秀家は八丈島で交流のあった寺の住職のことを下記のような和歌に詠んだとされています。

 「綿ぼうしさわらば落(おち)ん禿(はげ)あたまさぞ寒からめ西の山風」

 僧侶の坊主頭をからかう愉快な句で、3つのRを楽しんでいる秀家が目に浮かぶようです。逆境の流人生活にも押しつぶされることなく天寿を全うした宇喜多秀家のメンタル特性は、現代のストレス社会に生きる私たちにとっても非常に面白い示唆に富んでいるように思います。

 次回も引き続き戦国武将の生きざまから、ストレスと対峙していくためのヒントを探ってみたいと思います。どうぞお楽しみに。

【参考文献・サイト】
●『宇喜多秀家と豊臣政権』(渡邊大門著、洋泉社)
●『宇喜多秀家』(大西泰正著、戎光祥出版)
岡山シティミュージアム デジタルアーカイブ
岡山市東京事務所HP
●NHK BSプレミアム「偉人たちの健康診断」

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奥田弘美(おくだ ひろみ)さん
精神科医(精神保健指定医)・産業医・労働衛生コンサルタント
奥田弘美(おくだ ひろみ)さん 1992年山口大学医学部卒。精神科医および都内20カ所の産業医として働く人を心と体の両面からサポートしている。著書には『心に折り合いをつけて うまいことやる習慣』(すばる舎)、『1分間どこでもマインドフルネス』(日本能率協会マネジメントセンター)など多数。日本マインドフルネス普及協会を立ち上げ日本人に合ったマインドフルネス瞑想の普及も行っている。

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