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オフィスでもできる!「マインドフルネス・ストレッチ」

第17回 働く人を悩ます「NDT症候群」の予防に最適

 奥田弘美=精神科医(精神保健指定医)・産業医・作家

 こんにちは、精神科医で産業医の奥田弘美です。風の冷たさに本格的な冬の到来を感じる時節となりました。あなたの心と体はお元気でしょうか? さて今日も前回「疲れたら「ボディスキャン瞑想」! 頭から順に意識集中し、違和感探る」に引き続き、「オフィスでのマインドフルネス瞑想活用」をテーマにお伝えしたいと思います。

働く人を悩ますVDT症候群

(c)wang Tom-123rf

 皆さんは1日に何時間、パソコンやスマートフォン(スマホ)といったIT機器に向き合っていらっしゃるでしょうか? 現代の職場では、パソコンを中心としたIT機器を使った仕事が増える一方です。また本来はIT機器から離れて休息をとるはずのプライベート時間や通勤時間にさえも、スマホなどの急速な発達によってIT機器に触れる人が激増しています。そのため働く人の多くが、VDT症候群(Visual Display Terminal症候群)と呼ばれる症状を少なからず抱えています。

 VDT症候群とは、パソコン機器、スマホなどのIT機器の使用が原因とされる眼精疲労、肩こり、頭痛、腰痛、倦怠(けんたい)感、めまいなどの症状の総称です。

 IT機器に長時間向かい合って作業すればするほど、全身の血の巡りが悪くなり肩・首・上腕・背中などを中心とした筋肉が緊張し、こりや疲れがどんどんたまります。また近距離でディスプレーを凝視すると、まばたきの回数が減り、疲れ目や目の乾燥が進みます。

 特にディスプレーが目線より高い位置に設置されていると、まぶたがより大きく開き、目の乾燥が進みやすくなります。逆に持ち歩きタイプのノートパソコンのような小さすぎる画面を長時間凝視して作業し続けると、首がずっと下を向いたままになるため頸椎(けいつい)に負担がかかりやすくなります。

 体に負担のかかる姿勢や環境でIT作業をすればするほど、VDT症候群の症状は悪化しやすく、時には仕事に支障をきたすほどの眼痛、頭痛、腰痛、背部痛やめまい、眼精疲労が生じることがあります。それがさらに悪化すると不眠、全身倦怠感、微熱、イライラ、抑うつなどの重い症状に至る場合もあります。

 2008年に厚生労働省が発表した「平成20年技術革新と労働に関する実態調査結果の概況」によれば、仕事でパソコン機器を使う労働者の68.6%が疲れや自覚症状を感じているとのこと。その症状の内容としては、90.8%が「目の疲れ・痛み」、74.8%が「首、肩のこり・痛み」を訴えており、「腰の疲れ・痛み」「背中の疲れ・痛み」「頭痛」の訴えもそれぞれ20%以上となっています。また精神的なストレスを感じていると答えた労働者は34.6%にも上ります。皆さんの職場にも、このような症状を感じている方が多いのではないでしょうか?

VDT症候群の予防は、こまめな休息から

 実は2002年にはすでに、厚生労働省の「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン」が発表されています。そこでは次のような作業管理の基準が示されています。

  • 「作業の継続は60分以内とし、60分を経過した時点で10~15分の休止時間をとること」
  • 「状況によっては、小休止を随時取り入れて連続作業時間を短くすること」
  • 「腰痛や肩こりを防止するためには、同じ姿勢を長く続けないこと」

 これらの作業管理は、職場で一斉に行うことはできませんから、IT作業をする人それぞれが自分で意識して行う必要があります。しかしこのガイドラインに相当する休憩や小休止をきっちりと行えている方はごくわずかではないでしょうか? 私の産業医としての経験からも、はっきり言って皆無に近い状態です。

 様々な企業の衛生委員会でもこのテーマを取り上げることが多いのですが、出席者の中からは「IT作業の合間に小休止といっても、何をしたらいいのか思いつかない」「根を詰めてやっていると3時間ぐらいあっという間に過ぎてしまう」「1時間に一度、パソコンから離れていたら仕事にならない」などと訴える方が続出します。

 ちなみにガイドラインの「1時間に一度の休止時間」というのはIT作業から離れて別の仕事をしたらよいという意味なのですが、「そう都合よく1時間ごとに書類整理や電話のIT以外の業務があるわけじゃないし…」と言う方も少なくありません。

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