日本経済新聞 関連サイト

ようこそ ゲスト様
日経Gooday TOP  > からだケア  > こちら「メンタル産業医」相談室  > 健診受けっ放しはダメ! 呼び出し無視するとこんなリスクが…
印刷

こちら「メンタル産業医」相談室

健診受けっ放しはダメ! 呼び出し無視するとこんなリスクが…

第28回 社員には自身の健康を保つ義務がある

 奥田弘美=精神科医(精神保健指定医)・産業医・作家

 11月に入り気温が下がるとともに、街路樹が鮮やかに紅葉し始めました。皆様の心と体はお元気でしょうか? こんにちは、精神科医・産業医の奥田弘美です。

健康診断のあと、「要精密検査(要二次検査)」「要医療」「要治療」などと記された項目について放置していませんか?写真はイメージ=(c)catalin205-123RF
健康診断のあと、「要精密検査(要二次検査)」「要医療」「要治療」などと記された項目について放置していませんか?写真はイメージ=(c)catalin205-123RF

 さて突然ですが、読者の皆様は健康診断のあと、「要精密検査(要二次検査)」「要医療」「要治療」などと記された項目について、きちんと医療機関を受診されていますか? 産業医に呼び出されて「データが悪いので、病院へ行ってすぐ治療(または検査)をするように」と直接指導された経験のある人もいることでしょう。もしくは会社の人事担当や保健スタッフから、同様な内容の促しを口頭や文面で受けた人もいらっしゃるかもしれません。

 「なぜ自分の健康診断の結果について、会社や産業医が病院へ行くように口を出すんだ? 自分の体のことだから放っておいてくれよ」と、うるさがって無視していませんか? しかしそれは大変危険な考え方です。

放置していると、仕事を制限されることも

 もし健康診断で二次検査や治療を促されているにもかかわらずに放置して病気が悪化すると、仕事を制限されてしまったり、場合によっては就労させてもらえない事態に陥る可能性があります

 なぜならば、会社には「安全配慮義務」が労働法で課せられているからです。労働契約法第5条では、「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」と安全配慮義務を規定しています。

 簡単に説明すると、使用者(会社)は、労働者の健康が悪化すると予見されるような仕事や、労働者を危険にさらすような職務を与えてはならないということ。つまりもし社員が何らかの病気を患っていることを会社側が知っている場合、さらに悪化させるような働き方はさせられないし、その病気があるがために危険が発生する恐れのある業務につかせてはならないのです。

 しかし会社側には医療の知識は通常ありませんから、産業医が代わりにその判定を行い、会社は産業医の意見を参考に就業上の措置を決めることになります。例えばどのような就業上の措置がとられるか具体的にケースを挙げて紹介しますと…

「糖尿病や肝機能などの血液データが安全な範囲に改善するまで、残業は免除(もしくは1日○時間以内)、出張やシフト勤務は主治医の許可が出るまで禁止」

「血圧が正常域に下がるまで、残業は中止とし、社用車の運転は見合わせる」

「貧血が改善するまで、高所作業や危険作業は免除」

「心電図や胸部レントゲンなどで異常が出ている箇所に対して医療受診し、主治医の許可が出るまで残業は1日○時間以内までとするとともに、出張は見合わせる」

…といった感じです(これらはあくまでも一例であり、就労制限の内容や範囲は総合的な健康状態、職種、会社や医師の考えによって異なります)。

 また、あまりにもデータが悪化している場合は、ある程度の安全域に改善するまでや、主治医の許可が得られるまでは「要休業」、つまり就労を中止しなければならないという判断が一時的になされることもあります。

 例えば、血圧が「収縮期血圧200mmHg/拡張期血圧120mmHg」を超えている場合や、糖尿病で空腹時血糖値が300mg/dLを優に超えるような高血糖状態が続いている場合は、治療が開始されてデータが安全域に落ち着くまでは、産業医側は要休業を意見する可能性が高く、会社もその意見を尊重することが多いでしょう(判断基準は職種や作業内容、医師・会社の考えによって多少異なります)。貧血や肝機能異常、心電図異常などでも、重症な状態まで悪化している場合は、受診して主治医により就労の安全性が確認されるまでは要休業の措置がとられることがあります。

1/2 page

最後へ

次へ

RELATED ARTICLES関連する記事

からだケアカテゴリの記事

カテゴリ記事をもっと見る

FEATURES of THEMEテーマ別特集

  • 加齢で進む胃の不調 機能性ディスペプシアと逆流性食道炎の原因と対策

    加齢により胃の機能が衰えると、さまざまな不調が起きる。ピロリ菌の除菌が進んで胃がんや胃潰瘍が減ってきた今、胃の病気の主役は、胃もたれや胃痛の症状を招く「機能性ディスペプシア」と、胸やけやげっぷが起きる「逆流性食道炎」の2つに移行しつつある。なぜ機能性ディスペプシアと逆流性食道炎は起きるのか、どのような治療が必要なのか、セルフケアで改善・予防できるのか。このテーマ別特集では、胃の不調の原因と、それを解消するための対策を一挙紹介していく。

  • 「中途覚醒が多く寝た気がしない」 中高年の睡眠の悩み解消術

    「睡眠の途中で何度も目を覚まし、眠った気がしない」「早朝に目覚めてしまい、その後なかなか寝付けない」――。歳をとるにつれ、そんな「中途覚醒」「早朝覚醒」に悩まされるようになったという人も多いだろう。なぜ中途覚醒は起きるのか。中途覚醒を解消して、若い頃のような「熟睡」を手に入れることはできるのか。このテーマ別特集では、中途覚醒の原因と、それを解消するための対策を一挙紹介していく。

  • 強い足腰を維持するための「骨」の強化法

    健康長寿の大敵となる「骨の脆弱化」を予防するには、若いうちから「骨を強くする生活習慣」を取り入れていくことが大切だ。このテーマ別特集では、骨が弱くなるメカニズムや危険因子、骨を強く保つための生活習慣のポイントなどについて解説していく。

テーマ別特集をもっと見る

スポーツ・エクササイズSPORTS

記事一覧をもっと見る

ダイエット・食生活DIETARY HABITS

記事一覧をもっと見る

からだケアBODY CARE

記事一覧をもっと見る

医療・予防MEDICAL CARE

記事一覧をもっと見る

「日経Goodayマイドクター会員(有料)」に会員登録すると...

  • 1オリジナルの鍵つき記事鍵つき記事がすべて読める!
  • 2医療専門家に電話相談できる!(24時間365日)
  • 3信頼できる名医の受診をサポート!※連続して180日以上ご利用の方限定

お知らせINFORMATION

日経Gooday新型コロナ特設

SNS

日経グッデイをフォローして、
最新情報をチェック!

RSS

人気記事ランキングRANKING

  • 現在
  • 週間
  • 月間

NIKKEICopyright © 2021 Nikkei Inc. All rights reserved.