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こちら「メンタル産業医」相談室

知らないでは済まされない!「ストレスチェック」と「健診」の決定的違い

こちら「メンタル産業医」相談室(13)

 奥田弘美=精神科医(精神保健指定医)・産業医・作家

「ストレスが高いという結果だったのに、会社は何もしてくれない」とボヤく人は多いけれど、それは当たり前。会社は結果を知らないのだから(c)rido - 123rf

 もしあなたのストレスチェックの結果が悪くて「高ストレス状態」と判定が出たとしても、その結果は会社には知らされません。

 ストレスチェック制度では、高ストレス者が「ストレスチェックで高ストレス状態だったので医師による面接指導を受けたい」と会社に面接を申し込んだ時点で初めて会社が結果を知ることができるという仕組みになっています。

 そして医師との高ストレス者面接が実施され、医師からの意見を聴取したのちに就業上の措置が検討されることになるのです。つまり、もしあなたが高ストレス状態であったとしても面接を申し込まない限りは、業務上のストレスは何も軽減されないということなのです。

 本人以外に唯一結果を知っている実施者や実施事務従事者は、高ストレス者に対して「面接指導を受けたほうがいいですよ」と勧奨はします。が、それでもご本人が申し込まない場合は何もできません。ストレスチェックに関しては「本人の同意がない限り会社に結果を知らせてはいけない」と守秘義務が厳格であるため、会社に対して意見を伝えることができないのです。

 筆者は産業医として約20社のストレスチェックに関わっていますが、この違いをしっかりと認識していないビジネスパーソンが、まだまだ多い気がします。「ストレスチェック受けて、かなりストレスが高いって結果だったけど、仕事のストレスは何も変わらない」とボヤく方にも出会ったことがありますが、それは当たり前。会社は結果を知らないのですから。もしあなたが高ストレス状態と判定されたのであれば、ぜひ医師の面接指導を申し出ることをお勧めします。

医師の面接指導や、その後の流れは?

 通常、高ストレス者の面接指導はその会社と契約している産業医か面接担当医が行います。高ストレス者の面接では、医師は対象者とじっくり対話しながら、ストレスの状況や原因を確認し、医療的アドバイスを行い、必要ならば医療機関への受診を促します。この面接終了後に、会社側は医師の意見を聴取し、必要に応じて「就業上の措置」を検討していくのです。

 就業上の措置としては、面接した医師の意見を勘案しながら「業務量の一時的軽減」「業務環境の見直し」「残業や休日出勤の制限など労働時間の短縮」「就業場所の変更」「作業の転換」「深夜業務・出張などの回数の減少」などを検討することが一般的です。ただしこうした措置を決定する際には、対象社員と必ず話し合い、本人の了解を得ながら不利益な取扱いにならないようにしながら実施されます。

 不利益な取扱いとは、「解雇」「雇い止め」「退職勧奨」「不当な動機・目的をもってなされたと判断されるような配置転換又は職位の変更」「その他の労働法に違反する措置」などが該当します。このような不利益な扱いは法律で厳しく禁じられているのです。

 参考までに筆者が高ストレス者面接を実施したあとに行われた措置を代表的な3つのパターンに分けて事例とともにご紹介しましょう。筆者は2016年の1年間で、約20社で計30人の高ストレス者面接を実施しました。

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