日本経済新聞 関連サイト

ようこそ ゲスト様
日経Gooday TOP  > からだケア  > こちら「メンタル産業医」相談室  > 昇進で初めて部下を持つも自分がうつに 医師が「逆パワハラ」指摘  > 3ページ目
印刷

こちら「メンタル産業医」相談室

昇進で初めて部下を持つも自分がうつに 医師が「逆パワハラ」指摘

 奥田 弘美=精神科医・産業医

「かくれ疲労」にご用心

 30代や40代は、どんどん責任のある仕事を任されて求められる仕事の質も高くなってくる時期です。

 Tさんのように仕事ができる社員ほど会社の期待が集まり、管理職としての仕事も任されるようになってきます。

 グループのリーダーや部署のトップとして、売り上げや契約数といった「数字」のプレッシャーと日々格闘している人も少なくありません。

 また産業医として面談をしていると、「日中は部下の指導やフォローで自分の仕事ができなくて、終業時間が過ぎてからやっと自分の仕事が始められる」といった人にもよく出会います。

 こうした精神的なプレッシャーと肉体的な疲労が重なって限界に達してしまうと、自律神経が乱れてパニック障害になったり、不安が高じて不眠症などのメンタル不調を発症したりする人もしばしば出てくるのです。

 そのほかこうした精神的なストレスと体の疲労が蓄積した場合は、慢性的な腹痛や下痢(または便秘)を繰り返す過敏性腸症候群や、ストレス性の胃潰瘍をはじめ、胃もたれや胃痛が継続する慢性胃炎機能性ディスペプシア、胸やけやむかつきを感じる胃食道逆流症になる人も珍しくありません。

 また精神的な緊張による肩こり・首こりが長引いて、緊張性の頭痛になる人もいます。心身の疲労が蓄積することによって、めまいや耳鳴りを感じたりひどいときはメニエール病になったりしてしまう人もいます。

 これらのストレス性の疾患は、体にも心にもストレスと疲労が知らないうちにじわじわとたまることによって発症してしまうのです。

 30代や40代は、なまじ体力があるために疲労やストレスの蓄積になかなか気づかない人が多いので注意が必要です。

 責任のある仕事に追われている人ほど、次のような「かくれ疲労」の兆候がないかチェックしてみてください。

  • 仕事や人間関係のことで、普段より細かいことが気になりやすくなっている
  • そのためつい夜遅くまで考え込んだり、早めに目が覚めたりと、熟睡できる日が減っている
  • 何となく体がだるいなと感じる日が増えている気がする
  • 仕事や家事などのルーティンワークに対して、普段より「めんどくさいなあ」と感じてイラッとしやすい
  • 病院に行くほどではない胃もたれ、便秘、下痢、肩こり、頭痛、耳鳴りなどが、以前より増えている
  • 休日に予定を入れてみるものの、いざ出かけるとなると何となくテンションが下がってしまい、出かけるのをためらう。頑張って行ってもあまり楽しくない

 こうした兆候があれば、要注意です。これらは、疲労の蓄積によって起こっている自律神経の乱れの初期症状だからです。

 この状態であれば、体力や精神力でとりあえずしのげるので、見逃されやすい傾向があります。「なんだか気がたるんでるなあ。もっと頑張らなくっちゃ」「ノルマ達成のために、もっとギア上げなくちゃ」と自分にハッパを掛け過ぎていると、本格的な心身の不調に結びつく可能性が高まるのです。

 もしこうしたサインをキャッチしたら、とにかく心と体を休息させることに注力してください。

 平日はできるだけ睡眠時間を「6時間以上」確保する必要があります。もし仕事のことが気になって神経がピリピリするため熟睡しにくく、寝つくまで1時間以上かかったり、途中で2回以上起きてしまったりする症状が週に何回か起こるような場合は、心療内科や精神科、内科などで相談し、軽い睡眠導入剤を処方してもらうのもお勧めです。不眠症状が悪化してしまうと、心身の不調がどんどん進んでしまいます。

 「睡眠薬を毎日飲むのは抵抗がある」という人も、1週間のうち1、2日だけでも服用し、グッと深い睡眠を取るだけでも、体の疲れはかなり違ってきます。

 また昼食や夕食をできるだけ時間をかけてゆっくり食べて、自律神経のバランスを整えましょう。仕事中は多忙過ぎて気が抜けないという過緊張気味の人でも、昼食や夕食の時間を長めに取ることで、リラックスを図ることができます。

 心身の休息時間をしっかり確保するためには、休日には「仕事から完全に離れられる時間」が必要です。自分が休みの日には仕事の連絡が入らないよう、きちんとONとOFFを分けることも大切なのです。

「会社がしんどい」をなくす本
いやなストレスに負けず心地よく働く処方箋

たちまち重版! 「中田敦彦YouTube大学」でも絶賛!

「メンタルが強いと自負していたが、うつになってしまった」
「不本意な異動でストレス… 会社に行きたくない」
「テレワークが長引き、メンタルや体調が悪化してきた」
「社内では同調圧力を感じて、息苦しくて仕方がない」

いつ何時、心身のトラブルに見舞われるか分からない時代だからこそ、正しい知識と対策を身に付けましょう。

2万人以上のメンタル危機に対応してきた、精神科医・産業医の著者が、あなたの「会社がしんどい」を解決します。

奥田弘美(おくだ ひろみ)さん 精神科医(精神保健指定医)・産業医・労働衛生コンサルタント
株式会社朗らかLabo 代表取締役
奥田弘美(おくだ ひろみ)さん 1992年山口大学医学部卒。精神科医、そして約20の事業所の産業医として、日本経済を支える働く人の心と身体のケアを日々応援&サポートしている。これまでにメンタルケアを担当したビジネスパーソンは累計2万人以上。マインドフルネスやコーチングを活用した心の健康法も、執筆やセミナーなどにて提案している。 著書には『1分間どこでもマインドフルネス』(日本能率協会マネジメントセンター)、『心に折り合いをつけて うまいことやる習慣』(すばる舎・共著)など多数。最新刊は『「会社がしんどい」をなくす本 いやなストレスに負けず心地よく働く処方箋』(日経BP)。

先頭へ

前へ

3/3 page

RELATED ARTICLES関連する記事

からだケアカテゴリの記事

カテゴリ記事をもっと見る

FEATURES of THEMEテーマ別特集

  • 「中途覚醒が多く寝た気がしない」 中高年の睡眠の悩み解消術

    「睡眠の途中で何度も目を覚まし、眠った気がしない」「早朝に目覚めてしまい、その後なかなか寝付けない」――。歳をとるにつれ、そんな「中途覚醒」「早朝覚醒」に悩まされるようになったという人も多いだろう。なぜ中途覚醒は起きるのか。中途覚醒を解消して、若い頃のような「熟睡」を手に入れることはできるのか。このテーマ別特集では、中途覚醒の原因と、それを解消するための対策を一挙紹介していく。

  • 強い足腰を維持するための「骨」の強化法

    健康長寿の大敵となる「骨の脆弱化」を予防するには、若いうちから「骨を強くする生活習慣」を取り入れていくことが大切だ。このテーマ別特集では、骨が弱くなるメカニズムや危険因子、骨を強く保つための生活習慣のポイントなどについて解説していく。

  • もの忘れと認知症の関係は? 認知症リスクを下げる生活のポイント

    年を取っても認知症にはならず、脳も元気なまま一生を終えたいと誰もが思うもの。しかし、「名前が出てこない」「自分が何をしようとしたのか忘れる」といった“もの忘れ”は、中高年になると誰もが経験する。⾃分は周りと比べて、もの忘れがひどいのでは? ひょっとして認知症が始まったのか? と不安になる人も多い。このテーマ別特集では、もの忘れの原因や、将来の認知症にどうつながるのか、認知症を予防するにはどうすればいいのかについて、一挙にまとめて紹介する。

テーマ別特集をもっと見る

スポーツ・エクササイズSPORTS

記事一覧をもっと見る

ダイエット・食生活DIETARY HABITS

記事一覧をもっと見る

からだケアBODY CARE

記事一覧をもっと見る

医療・予防MEDICAL CARE

記事一覧をもっと見る

「日経Goodayマイドクター会員(有料)」に会員登録すると...

  • 1オリジナルの鍵つき記事鍵つき記事がすべて読める!
  • 2医療専門家に電話相談できる!(24時間365日)
  • 3信頼できる名医の受診をサポート!※連続して180日以上ご利用の方限定

お知らせINFORMATION

日経Gooday新型コロナ特設

SNS

日経グッデイをフォローして、
最新情報をチェック!

RSS

人気記事ランキングRANKING

  • 現在
  • 週間
  • 月間

NIKKEICopyright © 2021 Nikkei Inc. All rights reserved.