「隠れ疲労」の兆候を感じたら、何も予定を入れない休日を
第24回 夏うつ予防のための休日の過ごし方
奥田弘美=精神科医(精神保健指定医)・産業医・労働衛生コンサルタント
こんにちは、精神科医・産業医の奥田弘美です。今回も前回「梅雨の隠れ疲労、放置すると『夏うつ』? 解消する3つのヒント」に引き続き、「隠れ疲労」の対処法についてお話ししたいと思います。最もお伝えしたいのは「何もしない休日」の重要性です。
「隠れ疲労」についておさらい

まずはざっと復習です。社会的・環境的な変化が目白押しの3月、4月に発生した心身の疲れをゴールデンウイークの休みに解消しきれないでいると、疲労が引き続き蓄積していく。自律神経の乱れや気力の低下が知らず知らずのうちに進み、高温多湿の環境ストレスが高まる6月、7月、8月に「夏うつ」ともいえる病的な症状として顕在化しやすい――そのようなことを前回は解説しました。併せて、「隠れ疲労」の症状をいくつかチェックリスト風にまとめました。ここでも再度掲載いたしますので、前回をお読みになっていない方はチェックしてください。読まれた方は、このページの最後の段落にお進みください。
- 仕事や人間関係のことで、普段より細かいことが気になりやすい。
- そのためつい夜遅くまで考えこんだり、早めに目が覚めたりと、熟睡できる夜が減っている。
- 何となく体が重だるいと感じる日が増えている気がする。
- 家事や仕事上のルーティンワークに対して、普段より「面倒くさい」と感じイラッとしやすい。
- 病院に行くほどではない程度の胃もたれ、便秘、下痢といった消化器症状の乱れや、肩こり、頭痛、耳鳴りなどの体調不良が、以前より頻繁に起こりがち。
- 休日に遊びや研修などの予定を入れてみるものの、いざ出かけるとなるとテンションが下がり、出かけるのをためらう。頑張って外出しても、すぐに疲れてしまってあまり楽しめなかったりする。
現時点でこのような症状が表れている方は、まず平日に、心と体のセルフケアを意識しながら働くことを強くお勧めします。平日は、心身の緊張を促す交感神経系がどうしても活性化しやすいため、睡眠、食事、移動時間などを上手に活用して、意識的に副交感神経を優位に働かせリラックスを促したいところ。そのコツを前回「梅雨の隠れ疲労、放置すると『夏うつ』? 解消する3つのヒント」で詳しくお伝えしました。
休日は「Beingモード」で
今回は「隠れ疲労」を抱えている人に休日の過ごし方を提案したいと思います。一言で言うと、隠れ疲労の症状が出ている方は、休日は徹底して「心と体の休息」のために過ごされることをお勧めします。ただでさえ祝日がない6月から7月前半にかけては、土日の休日は貴重な休息日です。隠れ疲労の症状にチェックが多く入る人ほど、時間に追われず済むよう「何も予定を入れない休日」をお勧めします。
- 次ページ
- 「Beingモード」の休日を