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こちら「メンタル産業医」相談室

医師が警告! 仕事大好き人間がメンタルを病む共通のパターン

 奥田 弘美=精神科医・産業医

 自他ともに認める「仕事大好き人間」で、夜遅くまでバリバリ働き、社外とのハードな交渉もなんのその。休日だってゴルフにレジャーに大忙し。

 そんな「タフな社員」はどんな職場にもいるものだが、彼・彼女らに頼り過ぎると、いつかポッキリと本人のメンタルが折れてしまう。

 そう警鐘を鳴らすのは、最新刊『「会社がしんどい」をなくす本 』を出版した精神科医・産業医の奥田弘美さん。奥田さんは現在、約20社で産業医を担当。これまでに2万人以上のメンタルヘルスをサポートしてきた。

 コロナ禍でストレスが高まっている今だからこそ気をつけたい、社員のメンタル状況の見極め方を、奥田さんに解説してもらおう。

自他ともに認める仕事大好き人間だからこそ、メンタルを病むリスクがある。(写真はイメージ=123RF)
自他ともに認める仕事大好き人間だからこそ、メンタルを病むリスクがある。(写真はイメージ=123RF)

 こんにちは、精神科医・産業医の奥田弘美です。

 私は約10年前から主に産業医として仕事をしていますが、うつで休職になった人が「自分がまさかうつになるなんて思いもしなかった」とショックを受けるケースを何度も見てきました。

 また、「あの人のメンタルがやられるなんて」と上司や同僚が驚くパターンもしょっちゅうです。今回は、私が出会った「タフな社員がメンタルを病むケース」について話をしたいと思います(*1)。

 Oさんはバリバリのキャリアウーマンで、大手メーカーの広報部の課長を務めていました。月に80時間以上の残業が半年以上続いているために、会社の命令で私が産業医として面談をすることになりました。

 Oさんは自他ともに認める仕事大好き人間。産休や退職などで部署の人手が減り、法的に問題のある残業過多が1年ほど続いてしまっていました。面談室に入ってきたOさんは、顔色が悪く疲労感を漂わせています。長い髪も艶がなくパサついている感じでした。

*1 エピソードでは、個人や団体が特定されないように情報を適宜加工しています

「何カ月もずっと3~4時間睡眠ですよ」

 「ずいぶん長く残業が続いているようですが、調子はいかがですか?」と尋ねると、Oさんは面倒くさそうな表情で「毎日終電まで残業しているので、かなりヘロヘロ。疲れもすごくたまってます」と答えます。「睡眠は?」と尋ねると、「何カ月もずっと3~4時間睡眠ですよ」と投げやりに答えます。

 深刻な睡眠不足が続いて頭がボーっとして集中力が続かず、小さなミスをしたり部下とのミーティングをすっぽかしたりする症状が出ていました。土日も出勤したり自宅で仕事をしていたりする日があり、実質の休日は月に2~3日ほど。忙しさにかまけて食事もおざなりになっていて、デスクで食べられるおにぎりやパンで済ませてしまうことがほとんどでした。

 健康診断の結果を見ると、体重がここ半年で5キロも減っていて、もともと貧血ぎみだったのが悪化し治療が必要なレベルになっていました。最近では朝に頭痛やめまい、動悸(どうき)を感じることもあり、遅刻も増えてきているようでした。

 私は驚いて「深刻な疲労状態になっていますね。このままだと倒れてしまいますよ」と伝えると、Oさんは「いや、私が頑張らないと仕事が回らないので仕方ないんですよ。このプロジェクトは会社の肝いりで、あと半年ほどで完成に持っていけるから、やるしかないんです」とイライラした様子で答えます。

 私はすぐにOさんの過重労働を減らすように人事部に意見することにしました。Oさんは「今仕事を減らされたら困る」と初めは抵抗していましたが、このまま睡眠不足の状態を続けていると取り返しのつかない大きなミスにつながること、貧血が進むとめまいや動悸も進行して、最悪の場合は過労死の可能性もあることなどを伝えると、ようやく納得してくれました。

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