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こちら「メンタル産業医」相談室

医師が警告! 仕事大好き人間がメンタルを病む共通のパターン

 奥田 弘美=精神科医・産業医

(イラスト:福田玲子、『「会社がしんどい」をなくす本』より)

 人事担当者は「そんなにOさんの健康状態が悪化しているとは知りませんでした。彼女は社内でも有名な仕事大好き人間だったからつい油断してしまいました」と驚いていました。

 結果として他の部署から経験者が2人投入され、Oさんの残業はかなり削減されたそうです。1カ月後にOさんと再び面談したときは、前回とは違ってきちんとお化粧をして髪の毛の乱れもなく、金色のイヤリングも付けていて華やかな雰囲気に変わっていました。

 「やっぱり先生の言ったように、やばい状態だったようですね。休んでみてよく分かりました。残業が免除されてから数日は死んだように10時間以上寝ちゃいましたよ。行きつけの内科の先生のところに久しぶりに行ったら、ひどい貧血と栄養失調だって怒られました」

 と穏やかに話すOさんを見て、「本来はこんなにエレガントな女性だったんだ」と気づいたのでした。

「終わりの見えない過重労働」に陥ったOさんのパターン

 私の経験から「タフな社員がメンタルを病む」のは、3つのパターンが多いように思います。

 1つ目は、「終わりの見えない過重労働に陥ったとき」。まさしくOさんのパターンです。

 タフな社員は繁忙期の長時間残業なんてヘッチャラという人も少なくありません。過重労働から面談に呼んでも、「元気なんで大丈夫です」とさっさと退席していくこともしばしば。

 しかしいくらタフであっても、終わりの見えない長時間残業が続いている場合は要注意です。彼ら彼女らは今までの活躍ぶりを評価されて、ビッグなプロジェクトのリーダーに抜てきされたり、重要な部署の管理職を任されたりすることがありますが、そのようなところでは、プレッシャーや仕事量が多く、スタッフ全員が慢性的な疲労を抱えがちです。

 順調に仕事が進んでいるときはまだよいのですが、何か問題が発生したり臨時の案件が突っ込まれたりするととたんに業務量がキャパオーバーとなり、ストレスに弱いスタッフから病んでしまって戦線離脱する、ということも珍しくありません。

 昨今は欠員が出たとしてもすぐに補充してもらえることが少なく、働き方改革で若手社員には長時間の残業をさせられなくなっている事情も重なり、管理職やリーダーが欠員分の仕事をこなしていくという事態に陥りがちです。すると、毎晩終電で帰宅になり、睡眠不足が常態化。さらに土日にも仕事をしたり……と心身に疲労が蓄積していきます。

 こういう状態が半年以上継続すると、いくらタフな社員であっても心身のどこかに異常が出てくるのです。

 会社側はタフな社員に甘えて、1人に負荷をかけ続けてはいけません。特に裁量労働制になっている管理職は、過重労働になっていないかどうか常にチェックが必要です。

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