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こちら「メンタル産業医」相談室

経済活動再開後、これからコロナとどう付き合っていけばいいの?

第41回 産業医が提案する新しい働き方

 奥田弘美=精神科医(精神保健指定医)・産業医・作家

新型コロナうまく付き合うための3つの条件

 まず新型コロナウイルスとうまく付き合うということは、シンプルに表現すると以下の3点に尽きると思います。

(1)

新型コロナウイルスにできるだけ感染しない、感染させない

(2)

もし感染しても重症化させない

(3)

周囲の人を重症化・死亡させない

 まず1点目、「コロナにできるだけ感染しない、させない」ためには? ですが、これは先ほどご紹介した「新しい生活様式」に細かく規定されていることを守れば守るほど感染は予防できると思います。

 しかしインフルエンザ以上に感染力が強いとも言われるウイルスですし、感染しても無症状の人が一定数いるといわれていることから、社会生活をするうえで、絶対に感染しない方法をとるとすれば、外でも家でも宇宙服のような完璧な防護服を着て生活するしかありません。

 指針で示された感染予防はできるだけ守って感染予防はするけれども、コロナウイルスに感染してしまう可能性があることに対しては覚悟が必要になってきます。

 そこで2点目「もしコロナに感染しても、重症化させないこと」、そして3点目「周囲の人を重症化・死亡させないこと」が重要になってくるわけです。

 そんなことができるのかと思われるかもしれませんが、リスクを低くすることは可能です。

 先述したとおり、このウイルスは今のところエボラウイルスや鳥インフルエンザのように毒性が誰に対しても非常に高いウイルスでないことが判明しています。感染しても8割が無症状や軽症で治癒するという事実はもちろんのこと、このウイルスに非常に特徴的であるのは、重症化して死亡しやすいのは圧倒的に60歳以上の高齢者か基礎疾患やヘビースモーカー歴の長い中高年ということが、世界各国や日本の統計データを見ても明らかになっています。つまり基礎疾患を持たずヘビースモーカーでもない60歳未満の現役世代、青年、子供には圧倒的に重症者や死亡者が少ないのです。ちなみに日本では厚生労働省発表データによると20代未満の死亡率は0%、50歳未満だと0.1%程度と極小であり、50代でも0.6%。60代から死亡率は増えはじめ60代で2.5%、70代で6.8%、80歳以上では14.8%まで上昇します(*3)。これらの傾向は世界各国の統計データ上もほぼ類似しています。

 そこで、経済や学校が再開するときには、まず基礎疾患がなく元気な60代未満の人から活動をはじめるべきとの意見が出てきました。

 例えば、わが国では京都大学レジリエンス実践ユニット、世界では英国のエディンバラとロンドン大学の研究者グループやイスラエルのヘブライ大学のアムノン・シャシュア教授からすでに有用な提言が出されています。京都大学レジリエンス実践ユニットの解析によると、60代以上の死亡リスクは50歳未満に比べて16倍から約48倍になるとのことです。そこで京都大学レジリエンス実践ユニットからは、「60歳以上の高齢者、持病を持つ方などの、密集する集団への参加自粛が必要」であり、「その他の人は感染予防しながら経済・社会活動を行う」といった提案がなされています(*4)。

 エディンバラとロンドンの大学の研究者たちは新型コロナウィルスに対して重症化しやすい高齢者と基礎疾患者を完全に保護すれば規制を大幅に解除できるという論文を発表しました(*5)。

 この研究を指揮したエディンバラ大学マーク・ウールハウス教授(感染症疫学)は、「新型コロナウィルスに弱い高齢者や基礎疾患者が自粛を継続しつつ、彼らをケアする人が定期的に検査を受けるなどして彼らを完全に保護できれば、その他の人たちは適切な感染予防をしながら仕事にも学校にも行ける。なぜならば、新型コロナに弱くない人達にとっては、新型コロナウィルスはインフルエンザ以上のリスクはないのだから」と語っています。(5月7日BBC記事「Coronavirus: Is it time to free the healthy from restrictions?」より)

 イスラエルのシャシュア教授も高リスクグループである「67歳以上の高齢者や持病を持つ人たち」と「高齢者と別居が無理な人」を除いた低リスクのグループから普通の生活に戻していくことを提案しています。(5月1日朝日新聞DIGITAL記事「新型コロナ『経済封鎖せずに抑え込める』科学者が提唱」より)

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