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こちら「メンタル産業医」相談室

会社の健康診断、「今年はパス」はアリ?

第22回 知ってびっくり!目からウロコの「健康診断」

 奥田弘美=精神科医(精神保健指定医)・産業医・作家

 ごくまれに「健康診断結果は、個人情報だから会社に提出したくない」とダダをこねる社員さんに出会いますが、法律で定められた法定項目と呼ばれるデータ(身長、体重、視力、聴力、血圧、尿検査、貧血、肝機能、血中脂質、血糖、胸部X線など)は、会社に提出しなければなりません(法定項目は年齢や健康診断の種類によって異なります)。

 なぜならば、事業者側は、異常があった健康診断結果を医師に見せて意見を聴取し、労働者の健康を損ねないような働き方の配慮を行うことが同法律で定められているからです。

【健康診断の結果についての医師等からの意見聴取】

第66条の4 事業者は、(中略)健康診断の結果(当該健康診断の項目に異常の所見があると診断された労働者に係るものに限る。)に基づき、当該労働者の健康を保持するために必要な措置について、厚生労働省令で定めるところにより、医師又は歯科医師の意見を聴かなければならない。


【健康診断実施後の措置】

第66条の5 事業者は、前条の規定による医師又は歯科医師の意見を勘案し、その必要があると認めるときは、当該労働者の実情を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の措置を講ずるほか、(中略)その他の適切な措置を講じなければならない。


健康診断を拒否することは、できない。写真はイメージ=(c)nito500-123RF

 まとめると「健康診断は受けたくない」「個人情報だからデータを会社に見せたくない」と、社員側は言えないということです。もちろん、事業者側は提出された健康診断結果については、慎重な取り扱いと個人情報管理の徹底を行わなければなりません。

 ちなみに労働安全衛生法では、労働者の受診義務違反に対する罰則は設けていませんが、裁判例では、事業者は労働者に対して健康診断の受診を職務上の命令として命じることができ、受診拒否に対しては懲戒処分を行うことが認められています(平成13年最高裁「愛知県教育委員会事件」)。

 1回受診し忘れた程度で処分を受けることはないかもしれませんが、もし何年にもわたって健康診断の受診を拒否し続けている場合は、業務命令違反として何らかの懲戒処分を科せられる可能性があります。

なぜ健康診断は「義務」なのか?

 なぜこのような健康診断に関する取り決めが、法律で厳格に定められているかというと、その根本は「安全配慮義務」にあるといえます。

 よく過労死や過重労働の裁判記事で、「会社の安全配慮義務違反が認められた」といった記載を目にすることがありますよね。すべての事業者は、雇用している労働者を「健康かつ安全に働かさなければならない」という義務を負っています。

【労働契約法第5条】

使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。


 この「安全配慮義務」が事業者に強く課せられているからこそ、会社は健康診断を実施して社員の健康状態に応じた業務内容を検討しなければならないのです。

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