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こちら「メンタル産業医」相談室

過労、異動、人間関係…高ストレス状態の時のセルフケア術

第32回 2つのやるべきこと&2つのやめるべきこと

 奥田弘美=精神科医(精神保健指定医)・産業医・作家

 10~20分程度の昼寝にも疲労回復効果はありますので、ぜひ積極的にとってください。ただし、昼寝はあくまでも、ばんそうこうのような応急処置と考えましょう。高ストレス状態に対抗するためには、根本的に脳と体の疲労回復を行うための6時間以上の連続睡眠が不可欠です。もし寝つきが悪い(毎晩1時間以上かかる)、何度も夜中に起きて熟睡できないなどの不眠症状が出ている方は、すぐに医師に相談してください。

(2)「高たんぱく質な食事」を1日2食以上とる

動物性のたんぱく質は、疲労回復に不可欠。写真はイメージ=(c)Joshua Resnick-123RF

 高ストレス状態のときは普段より脳の覚醒度が上がるとともに、筋肉緊張が高まり、心拍数や血圧も上がりがち。つまり体のエネルギーを普段より多く消費していることになります。そのため疲労回復に効果的な、高たんぱく質で栄養バランスのとれたメニューをしっかり食べて、良質なエネルギーを常に補給することが必要です。

 特に肉・魚・卵といった動物性たんぱく質には、豊富なアミノ酸と疲労回復物質が含まれているため働き盛りの人には欠かせません。1日最低2食は動物性たんぱく質のメインディッシュと、たっぷりの野菜と適量の炭水化物がセットされたバランスメニューを意識して食べてください。とはいえ高ストレスのときは胃腸の動きが悪くなりがちなので、食欲がふるわない場合はフライや天ぷらなどオイリーなメニューは避け、焼く、蒸す、煮るなどのあっさりした調理法のものを選ぶとよいでしょう。

(3)他のストレス要因を最小限に減らす

 大きなストレスにさらされているときには、その他のストレス要因は思い切って最小限度にするようにコントロールする必要があります。

 例えばアフターファイブや休日に英会話や資格取得のためのスクール、各種セミナーに通っている人も多いと思いますが、知力・精神力を余分に使う活動は一時休止することをお勧めします。また体力・気力を使うような家族行事やコミュニティーの活動なども、理由を説明して延期や欠席をお願いしましょう。

 その活動が楽しくてリラックスでき、確実にストレス解消になっているというのであれば別ですが、高ストレス状態のときは「頭が思考や感情でいっぱいいっぱい」になる人がほとんどです。そんなときは自分を鼓舞して行うような活動や気疲れする行事はできるだけ控え、心身ともにリラックスできる休息時間を増やしてください。

 自律神経系のバランスが悪くなっているため体力的にも普段より疲れやすくなっていますので、負荷の高いスポーツや疲労を上乗せするようなレジャーや遠出は控えて、無理のない軽めの運動や外出に変更してください。

(4)重要な決断・行動は、できるだけペンディングする

 高ストレス状態のときには、心身が疲労し、思考力や判断力が鈍っていることがよくあります。そのため人生における重要な決断や行動は、高ストレス状態を脱するまでは可能なかぎりペンディング(保留)するのが得策です。例えば住宅・保険などの大きな買い物、婚約や結婚、引っ越しといった重要な決断は、ストレス状態を脱してから行いましょう。

 ストレスがマックスにかかっている最中にもかかわらず無理して転職活動を行う人がいますが、高ストレス状態のときは判断ミスが起こりやすくお勧めできません。焦って転職した会社が、自分の思っていた仕事内容ではなかったり、雰囲気が悪かったりということもよく耳にします。人生を左右するような重要な行動は嵐のピークに行うのは控えて、ある程度風がないできてからスタートさせましょう。その方が自分本来の思考力や判断力が戻っているため良い結果につながりやすくなります。

 ただしもし今、高ストレスによって心身の調子が悪くなっているのであれば、まずは産業医や症状が該当する医療機関の医師に相談して業務軽減や休職などの措置を行ってもらってください。

 以上、私が産業医・精神科医として高ストレス状態のビジネスパーソンの皆様にアドバイスしていることの中から、基本的な事項を4つに分けてご紹介しました。皆様のストレスコントロールの参考にしていただければ幸いです。

こちら「メンタル産業医」相談室

第31回 産業医が見た、タフネス社員が心を病む3つのパターン
第30回 黒田官兵衛に学ぶ、ストレス社会を生き抜くヒント
第29回 天国と地獄を味わった武将・宇喜多秀家に学ぶストレス対応術
第28回 健診受けっ放しはダメ! 呼び出し無視するとこんなリスクが…
第27回 実は「無」にならなくていい。マインドフルネス瞑想の本当のコツ
奥田弘美(おくだ ひろみ)さん
精神科医(精神保健指定医)・産業医・労働衛生コンサルタント
1992年山口大学医学部卒。精神科医および都内20カ所の産業医として働く人を心と体の両面からサポートしている。著書には『心に折り合いをつけて うまいことやる習慣』(すばる舎)、『1分間どこでもマインドフルネス』(日本能率協会マネジメントセンター)など多数。日本マインドフルネス普及協会を立ち上げ日本人に合ったマインドフルネス瞑想(めいそう)の普及も行っている。

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