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こちら「メンタル産業医」相談室

実は多い「上司がストレス」、部下との会話で意識すべきこと

第21回 残念なコミュニケーション・エラーを減らすために

 奥田弘美=精神科医(精神保健指定医)・産業医・作家

 実はこうした状況は医療界でも同じで、指導医が若い研修医を指導する際や、医師が患者さんと接する際にも、ちょっとしたコミュニケーションの行き違いが重なってトラブルが発生しかけることがあります。

 「若い人には、昔のように『見て覚えろ』『とにかくやれ』はもはや通用しない」「具体的に丁寧に、マニュアル仕立てにしないと動いてくれない」と言われて久しいですが、そうした問題に対処してきたはずの今でも、様々な現場でコミュニケーション・エラーが起き続けているのです。

 かくいう私自身も過去には苦い失敗を少なからず経験しました。そのため、今はとにかくコミュニケーション・エラーを起こさないよう、できるだけの配慮とともにスキルと工夫を駆使しながら日々の診療や面談に臨んでいます。

 そこで今回は、私が面談時にコミュニケーション・エラーを予防するために意識している会話のコツをご参考までに紹介したいと思います。

会話を3ステップで考え、相手の話を引き出す工夫を

 私自身はコーチングを自分なりにアレンジし「メディカルサポートコーチング」として体系づけた会話法を意識して、患者さんとの診療や社員さんとの面談に活用しています。医療関係者だけでなくコミュニケーションの初心者にお伝えすると喜ばれるので、ここではその基本を解説します(コーチングに造詣の深い人にとっては釈迦に説法だと思いますが、よろしければご笑覧ください)。

奥田さんの話を基に編集部が作成(作図 増田真一)
[画像のクリックで拡大表示]

(1)会話を「聴く」→「質問する」→「伝える」の3ステップで捉える

 「考えを押し付けられた」「話を聞いてくれない」と相手が感じるときは、自分の気持ちを十分に伝えられていない、話をさせてもらっていないことが大きな原因であることが多々あります。そのため会話がスタートしたときは、まず相手の話を「聴く」ことに徹するのが大切です。

 次に相手の話をさらに具体化したり、気持ちやニーズを引き出したりするために、「質問する」。そして、相手の状況やニーズ、価値観を理解した上で、最後にこちらの意見やアドバイスを「伝える」。この順番を意識すれば、コミュニケーション・エラーが基本的に起こりにくくなります。

(2)1ステップ目の「聴く」際には、共感のスキルをたっぷり使う

 「聴く」ときには、できるだけ全力で相手の話に集中します。聴く際には、相手を柔らかい表情で見つめ、穏やかな話しやすい雰囲気を作ります。相手を立たせたままではなく、自分と同じ目線の高さになるような椅子に座るよう勧めるなど、緊張感を取り除く工夫をします。

 何か作業中であっても「ながら聞き」をせずに、手を止めてしっかりと相手と向き合うことも大切です。そして「まずは状況を詳しく話してみて」「どんなことを悩んでいるの? 具体的に教えてください」などと問いかけて、相手にできるだけ自由に話してもらいます。

 相手が話し始めると、「なるほど」「それで?」「ふ~ん、そうなんだ」などと、温かな雰囲気で意識して何度もうなずきや相づちをします。これによって相手は、「私の話を興味を持って聴いてくれている」と感じ、胸の内を話してくれやすくなります。

 ちなみに始めのうちは話を聞いていても、「でもね」「そう言うけどさあ」などと否定的な相づちを挟んで、自分の説を述べ始める人がいますが、これはNGです。一通り相手の話が終わるまで、話の腰を折らない、話を持っていかないように注意が必要です。

(3)2ステップ目「質問する」ことで相手の価値観やニーズを探る

 一通り相手の話が終わったら、相手の状況や気持ちをさらに具体的に共有するために、質問をしていきます。「もう少し、○○について詳しく説明してみてくれる?」と具体化を促すように問いかける。「あなたの話をまとめると、~~~ということのようですが、それで間違っていない?」と情報の確認を行う。それと同時に、相手のニーズや価値観も探っていくとベストです。

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