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こちら「メンタル産業医」相談室

新型コロナでストレス高まる春、対策は? 睡眠は6時間以上確保

第40回 ストレスを和らげるセルフケア術

 奥田弘美=精神科医(精神保健指定医)・産業医・作家

 桜の開花宣言や卒業式、入学式といった春のうれしい訪れを感じるニュースも、すっかり新型コロナウイルス感染症(COVID-19)大流行の暗雲にかき消されてしまっている昨今、皆さまの心と体は大丈夫でしょうか? こんにちは、精神科医・産業医の奥田弘美です。

 さて今回は、世界を揺るがしている新型コロナウイルスの影響でマックス状態となってしまったストレスを和らげるためのセルフケア術について書きたいと思います。

写真はイメージ=(c) dolgachov-123RF

 本連載でも何度か書いてきたように、日本の春は心身ともにストレス度が非常に高い季節です。三寒四温と呼ばれる日々の激しい気温差に加え、働きざかり世代にとっては家族の卒業や入学、就職、異動、引っ越しと社会的変化もてんこ盛り。このように変化が激しい時期は、肉体的にも精神的にも変化になじもうとして、知らず知らずのうちに自律神経に負担がかかり心身の調子が崩れやすくなります(変化ストレスによる疲労についての詳細は、「連休の過ごし方に注意!『変化疲れ』が五月病の原因に【前編】」をご覧ください)。

 その結果、不眠、イライラ、不安の増強、憂うつ気分といった精神的な不調や、倦怠(けんたい)感、頭痛、ひどい肩こり、胃もたれや便秘・下痢、めまい、動悸(どうき)といった身体的な不調が出現しやすくなるのです。

 加えて今年の春は、新型コロナウイルス感染症まん延による世界的クライシスにより、すべての日本人に精神的なストレスが過分に上乗せされています。

 日夜報道されるコロナウイルス関連ニュースや、国を挙げての集会・イベントの大規模な自粛要請、マスクだけでなくトイレットペーパー類に及ぶ買い占め騒動といった日常生活の混乱など、日本中が大きな変化の渦にのみ込まれています。本連載を読んでいただいている働きざかり世代の皆さまも、おそらく不安な気持ちを抱えながら仕事をされていることでしょう。

 今春はいつもの春よりもストレス度が高いぞとしっかりと自覚し、誰もが万全のセルフケアを行っていただきたいと強く思います。

 現時点で明らかになっているデータでは、新型コロナウイルスは、基礎疾患がない、健康な現役働きざかり世代が感染しても無症状~軽症の風邪症状が多く、感染者の約8割が軽症で自然治癒しています(「中国の新型コロナ患者の8割は軽症、死亡者の多くが高齢者または持病あり」参照)。マスコミは若い人が重症になったレアな例を大げさに取り上げますが、日本感染症学会が2月26日に発表した「COVID-19に対する抗ウイルス薬による治療の考え方」では、「概ね50歳未満の患者(筆者注:基礎疾患や免疫抑制状態の患者は除く)では肺炎を発症しても自然経過の中で治癒する例が多いため、必ずしも抗ウイルス薬を投与せずとも経過を観察してよい」と明記されています(*1)。

 そのため現在健康で元気な現役世代の働く人は、まず十分な睡眠と栄養、休息をしっかりとるという「セルフケア」を入念に行ってストレスをできるだけ和らげ、自分の持つ抵抗力を最善の状態に整えることが、感染を予防するうえでも、万が一感染した場合に軽症で治癒するうえでも、最も大切になってきます。ストレスが蓄積すればするほど、体力が落ちれば落ちるほどに、抵抗力が下がることは医学的に周知の事実だからです。

 そこで本連載でも複数回取り上げてきたストレスを和らげるためのセルフケア術を改めて紹介したいと思います。

(1)良質な連続睡眠を夜6時間以上しっかりとる

夜は6時間以上睡眠を確保したい。写真はイメージ=(c) Aleksandr Davydov-123RF

 夜間にしっかりと連続した深い睡眠をとることによって、体の中では様々な機能が働きフルメンテナンスが行われます。例えば成長ホルモンが分泌され体の疲れが解消し代謝が高まる一方、脳では記憶の整理や精神的ダメージからの回復が行われるほか、胸腺ではリンパ球が産生されウイルスに対する抵抗力が高まります。

 昼寝や通勤時のうたた寝では、疲労回復効果はありますが、上記のようなフルメンテナンス効果は望めません。とぎれとぎれの睡眠ではメンテナンス効果が弱まるので、連続した深い睡眠を最低6時間以上、理想的には7~8時間とれるように生活を整えましょう。

 ちなみに約5万7000人の女性を対象にした調査によると睡眠時間が5時間以下の人は8時間前後の人たちに比べて1.39倍肺炎になるリスクが高いというデータもあります(Sleep. 2012 Jan 1;35:97-101.)。

 良質な連続睡眠をとるためには、次のNG行動は避けてください。

スマートフォンやゲーム類、SNSなどを眠る直前まで見る

 ブルーライトは睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌を抑制するため目がさえてしまいます。就寝1時間前にはIT機器から離れましょう。また他者とのネット・コミュニケーションも神経を高ぶらせて安眠を妨害しやすくなります。

照明やテレビをつけたままソファで寝てしまう

 明るい光や雑音があると、体内時計のリズムが乱れ、メラトニンの分泌が阻害されて深く良質な睡眠が得られません。できるだけ部屋を暗くして、心地よいベッドや布団で睡眠をとるようにしてください。

アルコールを寝る直前まで飲む

 アルコールは睡眠を浅く不規則にするため、メンテナンス機能を妨げます。もし飲むならば適量(ビールなら500mL程度、ワインならグラス2杯、日本酒なら1合程度)を眠る3時間前までに飲み終えること。この程度の量ならば体内で代謝されるために睡眠への悪影響が防げます。「深酒や多量飲酒をするとコロナに弱くなる」と意識して、特に平日の飲酒量はしっかりコントロールしましょう。

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