日本経済新聞 関連サイト

ようこそ ゲスト様
日経Gooday TOP  > からだケア  > こちら「メンタル産業医」相談室  > 産業医が見た、タフネス社員が心を病む3つのパターン
印刷

こちら「メンタル産業医」相談室

産業医が見た、タフネス社員が心を病む3つのパターン

第31回 長引く過労や睡眠不足、精神的ストレスに注意

 奥田弘美=精神科医(精神保健指定医)・産業医・作家

 春の気配が日に日に濃くなる三寒四温の毎日ですが、あなたの心と体はお元気でしょうか? こんにちは、精神科医・産業医の奥田弘美です。

どんなにタフな人でもメンタル疾患にかかる可能性はゼロではない。写真はイメージ=(c)Vadim Guzhva-123RF

 さて、どんな職場にも、「絶対にうつにならないだろう」と自他ともに認める心身ともにタフな人がいるものです。いつも体力・気力ともにバッチリの疲れ知らずで、繁忙期には夜遅くまでバリバリ仕事をこなし、自分の意見も堂々と主張して、ハードな交渉もなんのその。いわゆる「飲みニケーション」もウェルカムで人づきあいも悪くない。休日はゴルフやレジャーに朝早くからアクティブに参加する……。きっと皆さんの職場にも、こういうタフネスぶりを発揮している人がいるでしょう。

 しかしどんなにタフな人でも、メンタル疾患にかかる可能性はゼロではありません。私は現在まで精神科臨床とともに30社近い様々な企業に産業医として関わってきましたが、「自分がまさかうつになるなんて思いもしなかった」とショックを受ける患者さんや、「あの人がメンタルダウンするなんて」と上司や同僚が驚くパターンに何度も遭遇してきました。

 今回は、私が産業医や精神科医として経験した「タフネス社員がメンタルを病むシチュエーション」を3つのパターンに分けて紹介しつつ、予防のための提言をお伝えしたいと思います(個人情報保護のため、以下に紹介するケースの具体的内容・設定はアレンジしています)。

【パターン1】終わりの見えない過重労働状態に陥ったとき

終わりの見えない長時間労働が続いた場合は要注意。写真はイメージ=(c)ximagination-123RF

 タフネス社員は、体力気力に満ちあふれているので繁忙期の長時間残業なんてヘッチャラという人が少なくありません。過重労働面談に呼んでも、「元気なんで大丈夫です」とさっさと退席していく人も結構います。

 しかしいくらタフであっても、終わりの見えない長時間労働が発生した場合は要注意です。例えばタフネス社員はビッグなプロジェクトのリーダーに抜てきされたり、社の主要な部署の管理職を任されたりすることが多々あります。しかし往々にしてそういった部署では、プレッシャーや緊張を伴う仕事を任されたり仕事の量が多かったりし、スタッフ全員が慢性的な疲労を抱えがち。順調に仕事が進んでいるときはいいのですが、何か問題が発生したり臨時の案件が突っ込まれたりすると、途端に業務量がキャパオーバーとなり、ストレスに弱いスタッフが病んでしまって戦線離脱する……ということも珍しくありません。

 しかし昨今の職場では、人員に欠員が出たとしてもすぐに補充してもらえることが少なく、「働き方改革で若手社員には長時間残業させられない」と、管理職やリーダーが欠員分の仕事を引き取ってこなしていくという事態に陥りがちです。その結果、リーダーたちは毎晩終電で深夜帰宅となり、睡眠不足が常態化。さらに土日にも出勤したり、自宅にいても仕事を続けたり……と24時間が仕事で埋め尽くされることに。リラックスしたり、家族や友人と気分転換したりする時間がなくなり、心身に疲労が蓄積していくのです。

 こういう状態が半年以上継続すると、いくら元来タフであってもメンタルか体に異常が出てくる人が多いのです。

1/2 page

最後へ

次へ

RELATED ARTICLES関連する記事

からだケアカテゴリの記事

カテゴリ記事をもっと見る

FEATURES of THEMEテーマ別特集

  • 「中途覚醒が多く寝た気がしない」 中高年の睡眠の悩み解消術

    「睡眠の途中で何度も目を覚まし、眠った気がしない」「早朝に目覚めてしまい、その後なかなか寝付けない」――。歳をとるにつれ、そんな「中途覚醒」「早朝覚醒」に悩まされるようになったという人も多いだろう。なぜ中途覚醒は起きるのか。中途覚醒を解消して、若い頃のような「熟睡」を手に入れることはできるのか。このテーマ別特集では、中途覚醒の原因と、それを解消するための対策を一挙紹介していく。

  • 強い足腰を維持するための「骨」の強化法

    健康長寿の大敵となる「骨の脆弱化」を予防するには、若いうちから「骨を強くする生活習慣」を取り入れていくことが大切だ。このテーマ別特集では、骨が弱くなるメカニズムや危険因子、骨を強く保つための生活習慣のポイントなどについて解説していく。

  • もの忘れと認知症の関係は? 認知症リスクを下げる生活のポイント

    年を取っても認知症にはならず、脳も元気なまま一生を終えたいと誰もが思うもの。しかし、「名前が出てこない」「自分が何をしようとしたのか忘れる」といった“もの忘れ”は、中高年になると誰もが経験する。⾃分は周りと比べて、もの忘れがひどいのでは? ひょっとして認知症が始まったのか? と不安になる人も多い。このテーマ別特集では、もの忘れの原因や、将来の認知症にどうつながるのか、認知症を予防するにはどうすればいいのかについて、一挙にまとめて紹介する。

テーマ別特集をもっと見る

スポーツ・エクササイズSPORTS

記事一覧をもっと見る

ダイエット・食生活DIETARY HABITS

記事一覧をもっと見る

からだケアBODY CARE

記事一覧をもっと見る

医療・予防MEDICAL CARE

記事一覧をもっと見る

「日経Goodayマイドクター会員(有料)」に会員登録すると...

  • 1オリジナルの鍵つき記事鍵つき記事がすべて読める!
  • 2医療専門家に電話相談できる!(24時間365日)
  • 3信頼できる名医の受診をサポート!※連続して180日以上ご利用の方限定

お知らせINFORMATION

日経Gooday新型コロナ特設

SNS

日経グッデイをフォローして、
最新情報をチェック!

RSS

人気記事ランキングRANKING

  • 現在
  • 週間
  • 月間

NIKKEICopyright © 2021 Nikkei Inc. All rights reserved.