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こちら「メンタル産業医」相談室

春のメンタル不調対策、意識的な「手抜き」で緩み時間を増やす

第20回 睡眠は「多め」、家事は「手抜き」、休日は「近場」で

 奥田弘美=精神科医(精神保健指定医)・産業医・作家

【「緩み時間」の作り方】

○睡眠時間を普段より多くし、睡眠負債はできるだけ早く返す

 睡眠は心身をリラックスさせる最高の休息時間であるとともに、自律神経系の最も大切な調整時間です。睡眠時間が不足していては、どのようなリラックス法や健康法も効果は期待できません。夜に連続して最低6時間は眠るように心がけ、体が疲れたり緊張が激しかったりした日はさらにプラス1~2時間は眠るようにするとよいでしょう。

 急ぎの残業でどうしても睡眠不足になった日は、睡眠負債をできるだけ一両日中に返すべくしっかり眠る日を作ってください。ノー残業デーがある場合は別の活動を入れず、ぜひ睡眠負債返済のために使ってください。

○食事時間を普段より長めに!「ながら食事」をしない

 食事中は、副交感神経が強制的に活性化される時間です。仕事をしながら、あるいはパソコンやスマートフォンを見ながらの食事は避け、普段より長めにゆったりと時間をかけて食事をとることで、副交感神経が優位になる時間を作り出せます。

 どうしても早食いの癖がついている方は、マインドフルネス瞑想(めいそう)の一つ、「イーティング瞑想」もお勧めです。次に簡単にやり方を説明します。

1

食べようとするものを「初めて見る赤ちゃん」になったつもりで観察。その色、形をじっくり眺める。

2

次に香りをじっくり嗅ぐ。

3

口にゆっくりと運び、唇に触れた感覚を感じる。

4

口腔(こうくう)内に入れてもすぐにかまず、舌や粘膜の感覚を大事にし、香りの広がりも感じる。そしてその後、できるだけゆっくりとかみながら、歯触りや味の変化を感じていく。


 「イーティング瞑想」を行うと、自然に食事時間を長くすることができますし、他のマインドフルネス瞑想同様に、心を「今ここ」に戻して集中力を高めたり、情緒を安定させる効果も期待できます。

○休日は予定を入れず、時間に追われない

 春に変化が多い人ほど、休日はできるだけ自分の心の向くままにゆったり過ごしましょう。「○時に待ち合わせ」「○時までに移動」などと時間に追われてしまうと、交感神経系が優位になり緊張が増してしまいます。

 家族で外出する場合は、できるだけゆったりとしたファジーな予定で出かけましょう。交感神経が興奮しやすくなる人混みや都市部は避け、自然の中でのんびりとまどろむタイプのお出かけがお勧めです。趣味の活動やジョギングなどの運動を行うときも、予定を事前にガッツリ決めず「ふらりと楽しむ」感じがリラックス効果をアップします。

 また長時間の乗り物移動はゆっくり座っていたとしても自律神経系が疲れますので、基本的に「近場」で過ごされることをお勧めします。

○新たな日常活動やルールを増やさない

 春は新年度だから、昇進したから、といった理由で、新しい習い事や勉強、運動を始めたり、ダイエットや禁煙にトライしたり、手作り弁当を毎日持参することにしたり…といった新たな活動やルールを加える人も少なくありません。しかしこうした日常生活やリズムのプラスアルファの変化は新たな緊張や疲労を呼び、さらなる自律神経の負担につながることがほとんどです。

 まずは「春の変化」が一段落してから、こうした新たな活動を起こすように心がけましょう。逆に心身の緊張や疲れを和らげるために、習い事やセミナーの回数を一時的に減らす、勉強や家事を少々手抜きするといった「緩める変化」はOKです。

意識的に「手抜き」をしよう

 実は私自身が、過緊張になりやすい体質なので、春先は特にこうした「緩み時間」を増やすように心がけています。外食やデリを利用して料理の手抜きをはかったり、習い事や外出する回数を減らしたりと、とにかく時間に追われないでゆったり過ごせる日を増やすようにしています。それでも変化が立て続けに起こってイライラしたり頭の中を考えがグルグル回ったりする過緊張気味の日は、第1回「働く人に多い「過緊張」、1分間マインドフルネスで予防を」で紹介した深呼吸のマインドフルネス瞑想も効果的です。日本特有の春の変化ストレスに負けないために、ぜひ入念なセルフケアを心がけてください。

奥田弘美(おくだ・ひろみ)さん
精神科医(精神保健指定医)・産業医・作家
奥田弘美(おくだ・ひろみ)さん 1992年山口大学医学部卒。精神科臨床および都内18カ所の産業医として日々多くの働く人のメンタルケア・ヘルスケアに関わっている。著書は「1分間どこでもマインドフルネス」(日本能率協会マネジメントセンター)、「一流の人はなぜ眠りが深いのか」(三笠書房)など多数。日本マインドフルネス普及協会を立ち上げ日本人に合ったマインドフルネス瞑想の普及も行っている。

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