長時間労働はなぜ悪いのか? 医師が明かす「その怖さ」の理由
こちら「メンタル産業医」相談室(3)
一例として2003年に発表されたペンシルベニア大学とワシントン大学において行われた睡眠制限実験をご紹介しましょう。通常7~8時間の睡眠が必要な睡眠体質を持つ人を6時間しか眠らせないという制限を行ったところ、彼らの精神的・身体的パフォーマンスはどんどん直線的に低下していき、わずか2週間後にはなんと「2日間の徹夜を行った人」と同程度にまで低下してしまったのです。さらに恐ろしいのは、彼らはその状態を自覚できていなかったということです。「はじめの数日は低下したと感じたが、そのあとはさほど低下した実感がなかった」のだそう(*1)。