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こちら「メンタル産業医」相談室

「クラッシャー上司」にならないために… 心を育てる瞑想法を

他者に対する怒りの根っこに気づくには?

【ヴィパッサナー瞑想のやり方】
床に座布団や布を敷いてあぐらで座るか、椅子に背筋を伸ばして座ります。あぐらをかくのは骨盤から背筋をすっと伸ばす姿勢をつくりやすくするためと、足のしびれを予防し、安定して長時間座るためです。椅子に座る場合は足裏を地面にしっかりと付け、背もたれに寄りかからず、背筋を伸ばして座ってください。
手は下腹のあたりにそっと重ねておき、目を静かに閉じます。
心が落ち着かないときは、大きな腹式の深呼吸を数回行ってください。
次に静かな普通の呼吸に戻しながら鼻から息を吸い込みます。このとき、あなたにとって空気の流れを最も感じやすい鼻先の一点を決めて、そこで空気が鼻腔に触れる「感覚」をしっかり感じます。また息が出ていくときも鼻先で「感覚」を感じます。
空気を入ってきたこと、そして出ていくことを鼻先の一点で「感じて」「知り」ながら、静かな呼吸を繰り返します。
瞑想を始めると1分もしないうちに思考や感情が生まれてくるでしょう。その思考や感情に気づいてください。そして「来週の商談のことを心配している」「さっきの部下の報告に落胆しイラついている」「理解の悪い上司を思い出して怒りが湧いた」などと湧き上がってきた自分の思考や感情を眺めます。
 このとき思考や感情の内部に極力取り込まれず、「自分の感情や思考の塊を、少し上から眺めている」感じで客観視するのがコツです。
思考や感情に気づいて眺めたら、また静かに鼻先の呼吸に意識を戻します。強力な思考や感情には取り込まれてしまうこともありますが、「あ、取り込まれていた」と気づいたら、また静かに鼻先の呼吸に意識を戻してください。これを時間が許す限り繰り返してください。

他者に対する怒りやイライラの根っこに気づく

 ヴィパッサナー瞑想は、思考や感情を「観る」タイプの瞑想です。「無になれない」と自分を責める必要は全くありません。自分の思考や感情をヴィパッサナー瞑想で観ていくと、次第に自分がとらわれている「欲」「怒り」「執着」に気がついてきます。

 他者に対する怒りやイライラの根っこには、多くの場合「自分の思うようにならないことに対する怒り」「自分が承認を得たいがための欲」「お金や名誉、愛情に対する執着」が横たわっています。こうした心の根っこに気づくことで、次第に激しい怒りやイライラにのみ込まれにくくなり、情緒が安定しやすくなってきます。また「ああ、自分も他者と同様に未熟で弱い人間だなあ」と気づくことで、他人に対しても寛容さや慈しみの心を感じやすくなっていきます。

 かくいう私自身もまだまだ未熟で成長途中ではあるのですが、このヴィパッサナー瞑想を日々の習慣にしてからは、心が安定して人間関係も仕事も良くなってきたことを実感しています。ぜひ5分からでもいいので、ヴィパッサナー瞑想も日々の習慣に取り入れることをお勧めします。

※この記事は、特定の宗教や宗教団体を推奨するものではありません。

奥田弘美(おくだ・ひろみ)さん
 精神科医(精神保健指定医)・産業医・作家
奥田弘美(おくだ・ひろみ)さん 1992年山口大学医学部卒。精神科臨床および都内18カ所の産業医として日々多くの働く人のメンタルケア・ヘルスケアに関わっている。著書は「1分間どこでもマインドフルネス」(日本能率協会マネジメントセンター)、「一流の人はなぜ眠りが深いのか」(三笠書房)など多数。日本マインドフルネス普及協会を立ち上げ日本人に合ったマインドフルネス瞑想の普及も行っている。

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