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あの人のカラダマネジメント術

星出彰彦さんに聞く 無重力空間での筋トレのやり方

現役宇宙飛行士に聞く(3)

 高島三幸=ライター

2008年に初の宇宙飛行を行い、2012年には2回目の宇宙へ、そして50代となった2020年には3回目の宇宙飛行を予定している宇宙飛行士・星出彰彦さん。前回記事「星出彰彦さん 宇宙滞在時のストレス解消法は?」では、宇宙で活動している時の体調について話を聞いたが、今回は宇宙から地球に帰還した後の体の状態、50代で宇宙に旅立つために普段から意識していること、また、ラグビー経験が宇宙飛行士としてどう役立ったかなどについて聞いた。

2回目の宇宙滞在時、エクササイズ用自転車で運動する星出さん。こうした運動が早い筋力回復にもつながった /撮影日:2012年11月17日(日本時間)(C)JAXA/NASA

前回の記事では、宇宙にいらっしゃる時の体調について伺いました。今回は地球に帰還してからのことをお聞かせください。まず着陸する時ですが、どのような衝撃を受けるのでしょうか。

 最初の宇宙飛行の時に乗ったスペースシャトルは普通の飛行機のように滑走路に着陸したので、着陸の衝撃は少なかったのですが、2回目の時に乗ったソユーズ宇宙船(ソユーズロケットで打ち上げられるロシアの有人宇宙機)の場合、その衝撃はなかなかのものでした。

着陸時の衝撃が楽しくて、思わず「もう一回!」って……(写真 厚地健太郎)

 大気圏に突入した後、着陸のためにパラシュートを開いて減速するのですが、開く時の衝撃がすごくて。「樽(たる)に詰め込まれてナイアガラの滝を落とされた感じ」と表現する飛行士もいましたが、それぐらいの迫力がありました。でも、パラシュートが開く前はドキドキしていたのですが、終わった後は遊園地の乗り物に乗ったみたいで。楽しくて、一緒に乗った他の飛行士と、「もう一回!」って叫んだくらい。

 着陸の直前にエンジンを逆噴射するのですが、その直後、車が壁にぶつかったような衝撃を受け、着陸後は逆さになって吊り下げられた状態で救助を待ちました。楽しかったのですが、ああ、これでミッションも終わりかという寂しさもありました。

宇宙でもランニングや筋トレを実施

着陸後は、救助サポートによって外に出される感じでしょうか。

 そうです。カプセルから引きずり出されて椅子に座り、座ったままテントに連れて行かれます。そのまま服を着替えたり、メディカルチェックを受けたりして、そのあとヘリコプターで空港まで行きますが、ヘリの横に車を止めて、「ここからヘリまでは自分で歩いて」と言われました。2回目の飛行の時は4カ月という長期滞在で、無重力に長期間いると筋肉が衰えるので、立ち上がれないかもしれないと想像していたんです。もちろん、筋肉をできるだけ衰えさせないために、毎日2時間ほどトレーニングの時間が設けられていましたが、それでもやはり筋肉は衰えてしまうだろうと。でも実際は自分でも驚くほど普通に立てたし、歩けました(笑)。バランス感覚は戻らず、重力に慣れるまでふらふらしてしまいましたが、3週間ほどのリハビリを経て戻りました。

 ちなみに、宇宙では有酸素運動で持久力を鍛えるために、トレッドミルでランニングをしたり、負荷をかけながらペダルをこぐエクササイズ用の自転車でトレーニングしたりしていました。もちろん、無重力だから普通に走ろうとすると体がぷかぷか浮いてしまい、2歩目が着地できない。そこで、床面と体をゴムバンドでつなぎ、ゴムの力で体を床面に押さえつけるような感じで走っていました。自転車は、特殊な靴とペダルを装着させ、足がペダルから離れないように固定してこぎました(冒頭写真)。

改良型エクササイズ装置で運動する星出さん /撮影日:2012年11月17日(日本時間)(C)JAXA/NASA
[画像のクリックで拡大表示]

 筋トレはダンベルなどのウエート器具を持ってトレーニングしても意味がないので、無重力でも地上と同じように筋トレできる、ピストン式の真空シリンダーを活用した特殊な器具で行います。真空の筒があり、引っ張ると戻ろうとする力で負荷をかける筋トレです。

 宇宙に行って間もない頃はやはり体が慣れていないので、トレーニングはきつく感じました。地上のトレーナーが様子を見ながら、少しずつ負荷を上げていくようにメニューを組んでくれて、宇宙滞在の最後の方は、地球に戻っても立てるように鍛えていました。

帰還後のトレーニングは?

 帰還した後、飛行機で米ヒューストンに移動して、45日間のリハビリを行いました。筋力が弱っている部位や体の硬さ、バランス感覚がどの程度弱っているかなど、人によって強化すべきニーズが異なるので、トレーナーが体をチェックし、各々に合ったメニューを組んでくれます。

 宇宙に行く前と後で、短い距離を走るテストがあるのですが、僕の場合、帰ってきた後、うまく走れなかったんです。自分では華麗に走っているつもりでしたが、ドタバタとなってしまい、「なんだ、これ?」という状態でした。筋力はある程度ありましたが、重力に対して筋肉をうまく使えていない状態だったので、それを強化するいろんなトレーニングをしました。

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