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あの人のカラダマネジメント術

星出彰彦さんに聞く 無重力空間での筋トレのやり方

現役宇宙飛行士に聞く(3)

 高島三幸=ライター

マシンを使った筋トレなどですか?

 筋トレだけではなく、バランス感覚を取り戻すための運動や、軽いダンベルを持って負荷をかける運動などをほぼ毎日繰り返しました。

 だんだん宇宙での無重力感覚を忘れていき、地上での感覚に慣れてきて、人間の体はこんなふうに環境に適応していくものなんだと、自身の体の変化を楽しみながらリハビリしました。

50歳の宇宙飛行士はまだ若者!?

2020年に再び宇宙に飛び立たれる計画があります。50代という、これまでとは異なる年齢ですが、体をさらに鍛えるなど何か対策はされているのでしょうか。

 年齢による特別なトレーニングはしていませんが、筋力的にも身体能力的にも若い頃とは違うので、普段からの自己管理は意識しています。例えば、食べ過ぎないとか睡眠不足にならないとかでしょうか。宇宙飛行士だからといってすごく食べ物に気を使っているわけではないですが、野菜をしっかり食べようとか、酒を飲みすぎないようにしようとかなど、自然に体の衰えを自覚するようにはなりましたね。

 運動はジムには週に1~2回程度通い、トレッドミルで走ったり、エアロバイクを漕いだり、筋トレしたり。プールで泳ぐこともあります。宇宙飛行士という職業に就いている以上、まず健康でなければいけないことが前提にあります。その上で体力や持久力が必要なことは把握しているので、それを頭の片隅に置きながらやっています。

体力面での不安は?

50代だからと弱音は吐けないですね

 あまり意識していません。宇宙飛行士はプロのアスリートほど鍛えなくても、仕事ができる体力があればいいので。それに、宇宙遊泳などの訓練をしていくうちに、もう少しここを鍛えようと感覚的に分かってきます。

 精神面でも、複数回、宇宙を経験していることもありますが、心の準備はできているように思います。地上で宇宙飛行士をサポートする側の仕事もしていたので、どういうサポートが期待できるか分かっていることは、精神の安定にもつながっていると思います。

宇宙飛行士は何歳ぐらいの方が多いのでしょうか。

 30代、40代といますが、50歳の僕はまだ真ん中ぐらいじゃないでしょうか。僕ぐらいの年代は多く、もう少し年上の宇宙飛行士も現役で頑張っています。だから弱音は吐けないんですよ。先輩たちから見たら、「まだ若者だろ?」と言われるので(笑)。

役に立った「One for all」のラグビー精神

先日、ラグビーワールドカップが幕を閉じ、日本代表は初のベスト8という大躍進を遂げ、日本国民を沸かせました。星出さんも学生時代にラグビー部で活動され、大のラグビー好きとしても知られていますが、ラグビー経験が宇宙飛行士に役立ったことはありますか?

 ラグビーに限ったことではないですが、チームスポーツを通じて、チームワークの在り方や、チームで結果を出すために自分がどう立ち回るべきかと考えられるのは、ラグビー経験が役立っていると思いますね。国際宇宙ステーション(ISS)計画は宇宙飛行士だけでは遂行できないものですし、管制官やエンジニアなどさまざまな役割の人が力を発揮しなければ成立しない、チームワークありきの仕事です。そういった面でも「One for all」というラグビー精神が、僕のベースになっているのではないかなと思います。

 僕はフォワードとバックスをパスでつなぐスクラムハーフというポジションにいましたが、選手としては優秀ではありませんでした。でも、ISS計画の「チーム」が目的・目標を達成するために、自分は何ができるのか、ほかのメンバーとどう協力すればいいのか考えるのは、ラグビーの経験が役に立っているのかなと思います。何より、ラグビーで培ったチームとして勝利に向けて挑戦するという姿勢は、宇宙飛行士として実験やミッションに挑戦していくことに通じているように思いますね。

2020年に3回目の宇宙飛行を予定している宇宙飛行士・星出彰彦さん(写真 厚地健太郎)

◆現役宇宙飛行士に聞く

第1回 星出彰彦さんに聞く 宇宙飛行士に求められる資質・体力
第2回 星出彰彦さん 宇宙滞在時のストレス解消法は?
第3回 星出彰彦さんに聞く 無重力空間での筋トレのやり方
星出彰彦(ほしで あきひこ)さん
宇宙飛行士
星出彰彦(ほしで あきひこ)さん 1968年東京都生まれ。慶應義塾大学理工学部機械工学科卒業、ヒューストン大学航空宇宙工学修士課程修了。92年宇宙開発事業団(現JAXA)に入社。H2ロケットなどの開発・監督、宇宙飛行士の技術支援などを経て、99年日本人宇宙飛行士に選抜。08年スペースシャトル「ディスカバリー号」に搭乗し、「きぼう」船内実験室の国際宇宙ステーション(ISS)取り付け作業に参加。12年ISS第32次/第33次長期滞在クルーとしてISSに約4カ月滞在。2020年には約半年間、再びISSに滞在し、期間中には船長も務める予定。

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