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あの人のカラダマネジメント術

室伏広治さん「体が欲しているものを見つけるのもトレーニング」

元ハンマー投げ選手の室伏広治さんに聞く(1)

 高島三幸=ライター

 私自身、2011年の陸上世界選手権テグ大会で金メダルをとれたのも、2012年のロンドン五輪で銅メダルを獲得できたのも、東日本大震災で大きな被害を受けた宮城県石巻市の皆さんや子どもたちと交流を続ける中、「メダル獲得」を約束し、多くの声援をいただいたからこそ。そのことが競技への意欲を高め、メダル獲得という結果につながる原動力になりました。

 職場でも、自分の仕事がお客様はもちろん、チームや組織の仲間の役に立っていると思えれば、喜びや達成感を得ることができ、モチベーションがアップして集中して取り組めるはずです。

 3つ目は、「多面的な視点を持つ」ことです。単調な考え方しかできないと飽きやすくなります。同じ仕事でも、次はこういうやり方でやってみようなどと多面的に考えられれば工夫もできますし、飽きにくくなるでしょう。

現役時代には、自分の肉体や年齢の限界を超えていくために独自のトレーニングを行っていたという室伏さん。その詳細は第2回でお伝えする。

 私も現役時代、赤ん坊の動きをヒントに新しいトレーニングを考えて実践するなど、常にあらゆる視点から考えるようにしていました。すると、トレーニングが単調になることなく、集中して取り組むことができました。もちろん、結果につなげるのが一番の目的ですが、こうした工夫が、何十年も第一線で競技を続けられた一因にもなったと思います。

 多面的な視点を持つには、好奇心を大切にし、日ごろからいろいろな人の意見に耳を傾けることが大事だと思います。私も現役時代は、自分とは意見が違う人や、異なる競技の人からも積極的に話を聞くようにしていました。すると、自分にはなかった視点を得られます。スポーツ以外の分野の方からの話にも耳を傾けるようにしていましたし、専門家からより深く聞くことも大切にしていました。

 視野を広げるという意味では、グローバルな視点を持つことも大事だと思います。例えば、「このトレーニングは海外では、あるいは別のカルチャーではどのように捉えられているか」といった視点を持てれば、思考の幅はぐんと広がります。

 また、私の場合、競技だけに専念するような生活ではなく、大学で研究したり学生に教えたりしていましたが、そうした経験も、逆に競技に集中しやすくなった一因だと思います。

自分が求める感覚を大切に

 こうした意識の持ち方のほか、集中力を高めて維持し続けるには、心身ともに健康であることは外せません。それには、日々の体調管理が大事になります。「栄養」「運動」「睡眠」を生活の中にどのようにバランスよく取り入れ、心身ともにリカバリーしていくかが大事になるでしょう。

 まず栄養でいえば、私の場合、ハンマー投げの選手であった現役中は、やはり高たんぱく質を意識して食事をしていました。特に、筋肉に大きな負担がかかる激しいトレーニングをした時は、必須アミノ酸(*1)をバランスよく含み、筋肉の材料をしっかり補給できる動物性たんぱく質を積極的にとっていました。朝昼晩、赤身のステーキを食べるなどして1日1kg近く食べたこともあります。

 ただ、基本的に朝食には必ず魚を食べていました。魚にはEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)など、人の体内ではつくることができない必須脂肪酸の一種が含まれていますから(*2)。ただ、食べていた理由は、何よりも魚が好きだったからです(笑)。

*1 たんぱく質合成に必要な約20種のアミノ酸のうち体内でつくれないため食べ物からとる必要がある9種のアミノ酸のこと。

*2 EPAやDHAは体内で合成できないα-リノレン酸から代謝されてできるため、広義では必須脂肪酸といえる。

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