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あの人のカラダマネジメント術

大畑大介さん 減点法から加点法に変えて絶不調を脱出

元ラグビー日本代表 大畑大介さんに聞く(2)

 高島三幸=ライター

 結局、ケガや絶不調に陥って結果が出せない状態を乗り越えるために、経験値に勝るものはありません。自分の頭の引き出しの中にどれだけ経験値が詰まっているかで、乗り越えられるかどうかが変わる。だから、治療やリハビリといった加点のための方法は自分の財産であり、その財産をつくれば、どんなことも乗り越えられるように思うんですよね。

 それは、例えて言うなら困っているのび太くんを助けてくれるドラえもんの四次元ポケットのようなもので、そんな四次元ポケットを、自分がいろんな経験をすることでつくればいいと思うのです。リハビリが成功しても失敗しても経験になる。振り返って成功した要因や失敗した原因をイメージできるようになれば、それは壁を乗り越えるための立派な武器になります。

赤ちゃんから学んだ人間関係のイライラをなくす方法

ケガした瞬間をマイナスではなく、「0」と考えるというのは目から鱗です。

「加点法の考え方は人付き合いにも応用できます」

 マイナスと捉えてしまうのは、人と自分を比べるような他己評価をしているからです。人と比べると、自分が絶不調になった時にどんどん引き離されているような感覚になる。でも自己評価で考えられれば、絶不調の時を0と考えられるのではないでしょうか。

 これはスポーツだけの話ではなく、仕事の結果が出ない時もそんな風に考えればいいと思います。運やタイミングも結果に関わりますから、努力しても報われないことは多い。でも、その努力を報われないままで終わらせないためには、経験を次につながる財産になるように、きちんと分析する習慣をつけることが大事です。

 ちなみに、加点法の考え方は、人付き合いというか、人に対する評価にも当てはまります。僕自身、現役時代は、自分の実力で日本代表を含めたポジションを手に入れて、評価を得てきたという自負がありました。その考えがベースにあるので、若い後輩選手やうまくプレーできない選手に対して、「なんでこんなこともできないのか」と、上から視点で指摘していました。

 要は優越感に浸りたいだけですが、自分を0という基準にして、自分と同じことができない選手はすべてマイナスという減点法で判断してしまう。そうすると僕自身もイライラして、そんなイライラした雰囲気や物言いが相手にも伝わるし、一生懸命プレーしている相手も、そんな上から目線で注意されたらいい気はしないですよね。

そんな自分に気づいたきっかけは何ですか?

 考え方が劇的に変わったのが、子供が生まれた時でした。赤ちゃんは何もできないところから、寝返りやハイハイ、二本足で歩いていく。何もできないところを0だとしたら、あとはプラスばかりです。それに、「寝返りできてすごいなぁ」と褒めれば、嬉しがってどんどん寝返りしていく。褒めれば人はこんなに成長していくんだと自分の子供から学べたと同時に、「自分は今まで他人を減点法で見ていて、粗探しばかりしていた」と気づきました。

 加点法で人と接するようになってから、イライラすることもなくなり人付き合いがすごく楽になりました。人のいいところを見ようと意識するから、良好な人間関係を築けるようになったと思います。

 どんなに実力や競技レベルが高くなったとしても、人間としての地位なんて変わりません。人を見下すことで、自分は偉くなったと勘違いしているだけ。そんな人間はそれ以上成長することはできないし、誰もついてこない。誰かを成長させたい、高めたいと思ったら、自分の人間性も高めて成長しなければいけないんだと感じました。

◆元ラグビー日本代表 大畑大介さんに聞く

第1回 大畑大介さん 消極的な心変えた平尾誠二さんの言葉
第2回 大畑大介さん 減点法から加点法に変えて絶不調を脱出
第3回 大畑大介さん プラスに働く思考をしないと人生損するだけ

(写真 厚地健太郎)

大畑大介(おおはた だいすけ)さん
元ラグビー日本代表、ラグビーワールドカップ2019日本大会アンバサダー
大畑大介(おおはた だいすけ)さん 1975年大阪生まれ。京都産業大学時代に日本代表として活躍、98年に神戸製鋼入社。2001年にはオーストラリアのノーザンサバーブ・クラブでプレーし、03年にはフランス・モンフェランに入団を果たす。03~04年シーズンからは神戸製鋼コベルコスティーラーズにプロ契約。その後日本代表キャプテンを務めるなどラグビー日本代表を牽引し、ワールドカップに2度(99年、03年)の出場を果たす。ラグビーワールドカップ 2019日本大会アンバサダーを務める 。所属事務所:ディンゴ

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