日本経済新聞 関連サイト

ようこそ ゲスト様
日経Gooday TOP  > からだケア  > あの人のカラダマネジメント術  > 福島千里さん 日本記録が出ても世界から見ると挑戦者  > 3ページ目
印刷

あの人のカラダマネジメント術

福島千里さん 日本記録が出ても世界から見ると挑戦者

元陸上競技女子短距離トップアスリート・福島千里さんに聞く(1)

 高島三幸=ライター

意識の仕方を変えるだけで、走る練習のバリエーションは増える

勝って当たり前のような状況になって、トップを維持し続けるプレッシャーはありましたか。

 世界から見ると私はまだまだ挑戦者だったので、プレッシャーを感じたり、モチベーションが下がったりしたことは、あまりなかったと思いますね。

モチベーションという言葉が出てきましたが、妥協せずに日々の練習を積み重ねるために意識したことは?

 日々のトレーニングは地味ですが、自分のやり遂げたかった目標が決して簡単ではなく、さぼって突破できるものだと思っていないことが大前提にあるので、「積み重ねが一番大事」という意識が働きます。だから妥協せずに集中して練習できたと。やる意味を考えるというより、やらない意味がないという感じでしょうか。

 周囲から見るとただ走っているだけでも、「今日は足の回転のピッチを速くしてみたけど、どうだろう」「ストライドを広げてみたらどうかな」など、意識の仕方を試す方法が本当にたくさんあるんです。

 何を意識するかはコーチと決めることもあれば、自分で決めることもあります。自分の感覚だけではなく、コーチから客観的な意見が欲しいときもあるので、タイムを基準にしながら、自分の感覚と周囲から見たフォームのすり合わせを大事にしていました。自分の感覚とタイム、周囲が感じたことが必ずしも一致するわけではないですが、私だけでなく短距離のトップアスリートは、「フォームをこう変えると、どんなタイムが出るんだろう」「こんなふうに走ったら、どんな感覚になるかな」という、自分の体を使った実験を楽しんでいると思うんですよね。ウエートトレーニングで筋肉をつけて新たなフォームを身に付けても、結果には結びつかないかもしれません。でもその失敗を含めた成長をどんどん遂げなければ、自己ベストの壁は突破できない。新しい感覚と出合うためには、たくさん試さなければいけないし、大きな冒険をしなくてはいけないから本当に難しいのですが、そこが短距離トレーニングの楽しい部分だとも思います。

客観視や分析をするために、感覚などを記録していたのですか。

 記録と言えるほどではないですが、気がついたときに手帳によかった点を書く程度でした。何かに迷ったときは見返しても、参考程度でしたね。記録した通りにやっても同じようには走れないし、それが答えでもないと思っています。

トレーニングで自分の感覚を意識して大切にし始めたのは、いつごろからですか。

 2010年ごろでしょうか。やはり最初の方は、中村監督から出してもらったメニューを一生懸命こなすという感じでした。北京五輪で背が高くてすさまじい筋肉の外国人選手と競う世界のレースを経験して得た肌感覚からいろいろ試してみたいという気持ちが芽生えて、やってみたいことを中村監督に伝えていました。自立心というと聞こえはいいですが、監督を相当困らせてしまったと思っています(笑)。

次回に続く)

(写真:厚地健太郎/ヘアメーク:高柳尚子)

元陸上競技女子短距離トップアスリート・福島千里さんに聞く 第1回 福島千里さん 日本記録が出ても世界から見ると挑戦者 第2回 福島千里さん 陸上人生をかけた挑戦でつかんだ新記録 第3回 福島千里さん 陸上って何? 分からないから面白い
福島千里(ふくしま ちさと)さん
元陸上競技選手
福島千里(ふくしま ちさと)さん 1988年北海道生まれ。北京・ロンドン・リオデジャネイロ五輪日本代表。女子100m(11秒21)、200m(22秒88)の日本記録保持者。日本選手権の100mで2010年から2016年で7連覇を成し遂げ、2011年の世界陸上では日本女子史上初となる準決勝進出を果たした。2022年1月に現役生活を引退。引退後は、セイコースマイルアンバサダー(スポーツ担当)として次世代育成に貢献している。

先頭へ

前へ

3/3 page

RELATED ARTICLES関連する記事

からだケアカテゴリの記事

カテゴリ記事をもっと見る

FEATURES of THEMEテーマ別特集

  • 効率的に「お腹を凹ませる」トレーニングNEW

    中年にもなると、お腹がぽっこり出てくるのが気になる人も多い。特に薄着の季節になると、お腹が出ているのが気になり、何とか短期間で凹ませたいと思う人は多いだろう。しかし、スポーツジムでしっかり運動するのはつらいし、運動する時間を確保するのも大変だ。そこで、今回のテーマ別特集では、効率よくお腹を凹ませるために知っておきたい「内臓脂肪」の落とし方と、トレーニングのコツ、そしてお腹を凹ませる「ドローイン」のやり方について解説しよう。

  • 脳を衰えさせる悪い習慣、活性化する良い習慣

    「もの忘れがひどくなった」「単語がスッと出てこない」「集中力が落ちてきた」……。加齢とともに脳の衰えを実感する人は多いだろう。「このままだと、早く認知症になるのでは?」という心配が頭をよぎることもあるだろうが、脳の機能は加齢とともにただ落ちていく一方なのだろうか。どうすれば年齢を重ねても健康な脳を維持できるのか。脳に関する興味深い事実や、健康な脳を維持するための生活習慣について、過去の人気記事を基にコンパクトに解説していく。

  • 疲労解消は「脳の疲れ」をとることから

    しつこい「疲労」の正体は、実は脳の自律神経の機能の低下であることが近年の疲労医学の研究で明らかになってきた。本記事では、放置すると老化にもつながる「疲労」の怖さとその解消法を、過去の人気記事を基にコンパクトに解説していく。

テーマ別特集をもっと見る

スポーツ・エクササイズSPORTS

記事一覧をもっと見る

ダイエット・食生活DIETARY HABITS

記事一覧をもっと見る

からだケアBODY CARE

記事一覧をもっと見る

医療・予防MEDICAL CARE

記事一覧をもっと見る

「日経Goodayマイドクター会員(有料)」に会員登録すると...

  • 1オリジナルの鍵つき記事鍵つき記事がすべて読める!
  • 2医療専門家に電話相談できる!(24時間365日)
  • 3信頼できる名医の受診をサポート!※連続して180日以上ご利用の方限定

お知らせINFORMATION

SNS

日経グッデイをフォローして、
最新情報をチェック!

RSS

人気記事ランキングRANKING

  • 現在
  • 週間
  • 月間

NIKKEICopyright © 2022 Nikkei Inc. All rights reserved.