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あの人のカラダマネジメント術

柴咲コウさん やって分かった「早起きは三文以上の徳」

女優・柴咲コウさんに聞く ベストな睡眠習慣の探し方

 高島三幸=ライター

直木賞作家・角田光代さんの小説「坂の途中の家」が、4月27日からWOWOWで連続ドラマ化される。乳幼児虐待という、家庭に潜む重いテーマを題材とした心理サスペンスの主演を演じるのは、柴咲コウさん。柴咲さんといえば、女優だけでなく、歌手、そして経営者として多彩な顔を持つ。そんな多忙な彼女が、それぞれの場所でベストパフォーマンスを発揮するために、日々心がけていることを教えてもらった。

「連続ドラマW 坂の途中の家」で、2年ぶりの連続ドラマ主演を務める柴咲コウさん(写真 厚地健太郎)

女優、歌手、経営者、三足のわらじを履いて

「連続ドラマW 坂の途中の家」では、大河ドラマ「おんな城主 直虎」以来、2年ぶりの連続ドラマの主演となります。このドラマでは、乳幼児虐待死事件の補充裁判員に選ばれた主婦・山咲里沙子を演じられ、育児ストレスを感じる母として、被告の人生と照らし合わせていくような難解な役を演じられました。初めて台本を読んだとき、どのように思われましたか。

柴咲 劇的に面白い物語に引き込まれて一気に読み終えました。早く演じたい、撮影に入りたいなと思ったのが率直な感想です。

 同時に、この役を演じることの難しさも感じました。私自身のキャラクターとは全く異なりますし、しかも子を持つ母親の役。里沙子はある日突然、補充裁判員に選ばれますが、私自身、裁判員の詳細な役割も知らなかったので、自分にない引き出しをたくさん作らないといけないと感じました。「やりがいになる作品になりそう」という期待値が大きかったですし、実際に撮影を終えて振り返ると、女優として勉強になった作品でした。

大河ドラマの主演という大役を務めながら、2016年11月にエンタメ事業とEコマース事業を行うレトロワグラースを設立されました。2018年にはファッションブランド「ミ ヴァコンス(MES VACANCES)」を立ち上げたほか、レトルト食品ブランドなども手がけています。実業家として多岐にわたる仕事に取り組みながら、女優として大役も果たされていますが、複数のキャリアを同時進行する生活を経験し、どんなふうに感じていますか。

柴咲 起業経験がある人は分かると思うのですが、準備も含め、会社の立ち上げは、激動そのものでした。大河ドラマの撮影をしていた2016年に起業し、大河ドラマが終わってしばらくは経営の仕事に頭をフル回転させていました。半年以上、女優の仕事があいて次の撮影が始まったとき、仕事の内容はもちろん、日々のルーティンがあまりにも異なるので、体や思考を女優業に慣れさせるのが大変でした。

 「女優業は自分にとって初めてなんじゃないか?」「あれ、どうやって撮影するんだっけ?」と思うぐらい、現場での段取りに戸惑ってしまいました。少しずつ感覚を取り戻しましたが、それぐらい女優と経営の仕事は違うんですね。女優、歌手、経営者で使う“頭”がそれぞれ違うので、今も思考の切り替えの大変さを日々痛感しています。

「連続ドラマW 坂の途中の家」は2018年末に撮影されたそうですが、やはり経営の仕事との両立は大変でしたか? 撮影の仕事をされていると、生活が不規則になりそうなイメージもありますが…。

柴咲 2018年は会社の新ブランドの仕事と撮影の仕事が重なって、本当に多忙で…(笑)。息つく間もないぐらい忙しいと、大いに実感した年でした。

 撮影の仕事は、もちろん大変ではありますが、経営の仕事よりルーティン化しやすいともいえるかもしれません。朝の入りの時間やスケジュールは自分で考えなくても他の方が決めてくださるし、洋服はスタイリストさんに選んでいただいたものを着ればいいし、お化粧もメイクさんがしてくれるし…。そういう意味では、女優業の方がラクなんじゃないかと思うぐらいです(笑)。

女優と経営の仕事は全く違うので、頭の切り替えが大変です

体内時計が狂わないよう「早起き」を開始

そんな中で、おのおのの仕事でベストパフォーマンスを発揮するために、体調管理などで心がけていることはありますか?

柴咲 いろいろな種類の仕事を抱えて、このところ、確かに不規則な生活になりがちでした。そんな生活では頭がついていかず、ベストな判断ができないと思いました。そこで、働き方を変えたのを幾に自分の人生もちゃんとしなければと思い、起床時間を決め、体内時計が狂わないよう習慣化することにしたんです。それで、今年から「早起き」を始めました。

柴咲 それまでは、少しでも時間があれば寝たいという思いが強く、何もない日は朝の10時とか正午まで寝ることもありました。早朝の撮影があればやはり体が疲れますし、その分、時間ができたときに寝だめしたいという思いがあって…。あるとき、12時間以上も寝ていたことがあり、さすがに飼い猫も嫌気がさしたようで、「いつまで寝ているの?」と起こしにきましたね(笑)。

 今はできるだけ午後10時までには布団に入るようにし、朝5~6時の間には起きるようにしています。

早起き生活で、心にも余裕が生まれました

実際に早起きを始めてみて、体調に変化はありましたか?

柴咲 「早起きは三文の徳」といいますが、実際に早起きを始めてみると本当にいいことばかりで。3倍以上得しているような気がして、時間にも心にも余裕が生まれました。

 最低7時間は睡眠時間が欲しいのですが、夏になって日が長くなれば、4時半ぐらいに起きたいなと思っています。そうすると、何時に寝なきゃいけないんだということになりますが、でも本当に早起きし始めて体の調子がいいので、もしかしたら睡眠の質も高まって、ショートスリーパーになれるのではという淡い期待を抱いています(笑)。

年々体力などの変化を感じることはあるのでしょうか?

柴咲 年齢は記号だと思ってはいるものの、20代前半の時のように寝なくても大丈夫というわけにはいきませんし、体は確実に変化していると感じています。

 だから、限られた時間内で深い睡眠が取れるように、「朝何時に起きて、どれぐらいの睡眠を取ったらいいのか」「日中どのような行動を取れば、良質な睡眠につながるのか」と、常に考えていますね。「明日はいつもより30分早く寝てみよう」など、いろいろ実験しながら、自分の体に一番合う睡眠方法を探っています。

「自分データ」を記録し、今後に生かしたい

早起きを習慣づけるために何かされていますか。

柴咲 いろんな仕事をきちんと回せるようにしたいという目標を掲げたことが、早起きしようと思える、大きなモチベーションになっていますね。

 それから、プロジェクトの予定などを俯瞰(ふかん)して一目で分かるようにするため手帳に書いていて、寝る前に、翌日の起床予定時刻も書き込んでいます。

 翌日には、実際に起きた時間や、その時間に起きた結果「コンディションが割と良かった」「昼間眠気が襲ってきた」「体が重かった」などの感想も記録しています。この日記のような「自分データ」がもう少したまれば傾向を分析して、より良い睡眠を目指し、調整していきたいなと思っています。

柴咲さんのインスタグラムを拝見すると、自炊されたおいしそうな和食メニューを多く見ることができます。食事面で気をつけていることは何ですか?

柴咲 栄養素をどのくらいとるとかカロリーといった数字面も大事だと思いますが、「数字的に」とか、「世間やマスコミがこの食事がいいと言うから」という情報をうのみにするのではなく、きちんと自分が体感して、体が気持ちいいと喜ぶものを食べたいという思いが強いです。すると、私の場合、やっぱり手作りが一番おいしく感じるし、体調もいい。

 2018年は本当に外食や現場でいただくお弁当などが多く、それぞれおいしいのですが、それが毎日続くとやはり胃腸が疲れてしまって、自炊の良さを改めて実感しました。

 今やっと自炊ができる時間を取れるようになったので、できるだけ家で食べるようにしています。ご飯とお味噌汁だけでもうれしいし、1日1杯は食べたいぐらい大好きな味噌汁に具をたくさん入れれば、それだけで多くの栄養素が取れる一品になります。

料理で意識していることは何でしょう?

柴咲 野菜が好きで多く食べるようにしていますが、「蒸すこと」を意識していますね。栄養素を余すところなく取れるというメリットもありますが、何よりも素材そのものの味を味わえておいしいんです。

 先日、ちぢみホウレンソウを買ってきて、フライパンで蒸したんです。それがものすごくおいしくて。ゆでたらあの味は出なかったのではと思うぐらいでした。

 どうやったら一番自分の体が喜ぶか、自分の体で実験して見つけられた健康法が、習慣化しやすいのではないでしょうか。

(カメラマン:厚地健太郎/ヘアメイク:SAKURA〔アルール〕/スタイリスト:岡本純子〔アフェリア〕)

「連続ドラマW 坂の途中の家」

(C)2019 WOWOW INC.

4月27日(土)WOWOWプライムにて放送開始
毎週土曜よる10時~(全6話)第1話無料放送

原作:角田光代
脚本:篠崎絵里子
監督:森ガキ侑大
出演:柴咲コウほか

【ストーリー】
山咲里沙子(柴咲コウ)は、3歳の娘・文香と夫(田辺誠一)と3人で平穏な日々を送っていた。そんな時、裁判所から裁判員候補者に選ばれたという通知が届く。対象となる事件は、里沙子と同じ年頃の専業主婦の母親・安藤水穂(水野美紀)が、生後8カ月の娘を浴槽に落として虐待死させたという衝撃的な事件だった。最終的に里沙子は「補充裁判員」に選ばれた。同じ子供を持つ母として、我が子を殺めた水穂に嫌悪感を抱く里沙子だが、裁判の開廷後、徐々に安藤水穂という被告自身の境遇に自らの過去の記憶を重ねていくことになる――。