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あの人のカラダマネジメント術

鈴木明子さん 苦難を乗り越えるのに重要な「イメージ喚起力」

フィギュアスケート五輪元⽇本代表の鈴⽊明⼦さんに聞く(中)

 高島三幸=ライター

 自分のためだけに頑張れることには限界があります。私の場合、親やコーチといった私を支えてくれた人、応援してくれた方々など、自身を取り巻くいろんな人が喜んでいる姿をイメージすることで、つらい時期も踏ん張ることができました。

 「皆が喜んでくれることが私の喜びだから、そんな自分のために頑張ろう」。こんなふうに思えるようになったことは、勝つことが求められる競技生活においての武器になった。遅咲きながらも諦めることなく、27歳という高い年齢での世界選手権のメダル獲得につながったのだと思います。

「もう少し適当でもいいか」と思えることの必要性

「あの経験以来、自分の感覚を大事にするようになりました」
[画像のクリックで拡大表示]

 一方で、真逆のことを言うようですが、この病気を経験して、「スケートをこれだけ頑張ってきたのだから、それ以外のことはもう少し適当でもいい」と思えるようにもなりました。

 親やコーチなど周りの期待に応えたい一心で、何もかも完璧にこなそうとしていた私ですが、病気で何もかも1人でできなくなったときに、周りにサポートしてくれる人たちがいるということを実感した。「あ、できなければ、周りの力を借りればいいんだ」「頼ってもいいんだ」と思ったら、心が満たされたのか、気持ちがラクになったんです。

 マインドセットしてからの生活はがらりと変わりました。最も変わったのが、1日5~8回乗っていた体重計に乗らなくなったことです。あの時期に一生分乗ったので、もういいかなと(笑)。数字よりも、人間としての自分の感覚を大事にしようと思えました。

 ご飯を食べると、歩くことしかできなかったのが走れるようになる。腹筋ができるようになるなど、少しずつ体の変化を感じられました。食事に関しても、「たんぱく質をもっととらなければ!」「ビタミンが不足している!」などと足りない栄養素を強制的に摂取する考え方より、「最近、魚を食べてないから食べよう」「疲れたから酸っぱいものが食べたいな」という自分が自然に求める本能に任せて食べるようになった。そうするうちに食べられるものの幅が少しずつ広がり、練習後に「パワーが欲しいからお肉が食べたい!」と思えるようになりました。

 食べることは、人が生きる上で必要不可欠なことであり、食欲とは、人間が持つ当たり前の本能です。でも、神経質になり過ぎた私はそれが欠けてしまった。本能のまま生きるとまた太ってしまいますが、そのバランスを少し調整することで、もっとラクに生きることができるんだなあと思えたのでした。

 ※第3回に続く

(写真:鈴木愛子)

◆フィギュアスケート五輪元日本代表の鈴木明子さんに聞く

第1回

鈴木明子さん スケート選手としての転機になった「摂食障害」

第2回

鈴木明子さん 苦難を乗り越えるのに重要な「イメージ喚起力」

第3回

鈴木明子さん 「負の思考」を吐き出してストレス解消

鈴木明子(すずき あきこ)さん
鈴木明子(すずき あきこ)さん 1985年愛知県出身。6歳でスケートを始め、15歳で全日本フィギュアスケート選手権4位。18歳で摂食障害を患い、一時は体重48kgから32kgに。2004年に復帰し、06-07年ユニバーシアード冬季競技大会優勝。09-10年グランプリシリーズ中国杯初優勝。バンクーバーオリンピック8位入賞。12年世界フィギュアスケート選手権では日本人最年長27歳で銅メダル獲得。14年ソチオリンピック個人8位。現在はプロフィギュアスケーター、振付師として活躍。著書に『ひとつひとつ。少しずつ。』(KADOKAWA)など。

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