日本経済新聞 関連サイト

ようこそ ゲスト様
日経Gooday TOP  > からだケア  > あの人のカラダマネジメント術  > 鈴木明子さん スケート選手としての転機になった「摂食障害」  > 2ページ目
印刷

あの人のカラダマネジメント術

鈴木明子さん スケート選手としての転機になった「摂食障害」

フィギュアスケート五輪元日本代表の鈴木明子さんに聞く(上)

 高島三幸=ライター

 フィギュアスケートは表現力や持久力はもちろん、高いジャンプ力も求められます。高くて美しいジャンプを飛ぶためには体重も大きく影響する。もちろん体重が増えると足への負担も大きくなり、ケガにつながるリスクも高まります。特に体重や体脂肪が増加しやすい思春期は女子アスリートにとって難しい時期であり、私自身「体重を落としたらもっといいジャンプが飛べる」という意識が常にありました。

「同世代の浅田真央ちゃんや安藤美姫ちゃんと自分を比べてしまって…」
「同世代の浅田真央ちゃんや安藤美姫ちゃんと自分を比べてしまって…」
[画像のクリックで拡大表示]

 高校の頃は、アスリートとしての自覚や、必要な知識が足りず、インターネットで知ったダイエット法などを試したこともありました。今思えば、そうした自覚や知識の足りなさも、この病気を患うことになる一つの原因でした。

「同世代の浅田真央ちゃんや安藤美姫ちゃんと自分を比べてしまって…」
「同世代の浅田真央ちゃんや安藤美姫ちゃんと自分を比べてしまって…」
[画像のクリックで拡大表示]

 高校卒業後、20歳のときに迎えるトリノ五輪を目指し、仙台市にいる長久保裕コーチに教えてもらうため、実家を離れて東北福祉大学に進学しました。親に管理されなくなると、「自由にできる!」などと開放的な気分になって自己管理を怠る人は多いでしょうが、私はその逆でした。「自分次第ですべてダメになってしまう」といった、自由であるがゆえの強い責任感を覚えてしまったのです。

 もともと完璧主義な性格で「まっ、いっか」という妥協ができません。思い通りにならないと自分を責めてしまいます。

 それまで自己管理もすべて自分でできると勘違いしていたこともあって、一人暮らしを始めた途端、何もかもできない自分に愕然(がくぜん)としました。本当は、親やコーチといった周囲の協力もあって、コンディション作りも競技生活も成り立っていたのに、分かっていなかったんです。

 例えば、朝何時に起きて、ご飯を作り、洗濯をし、学校に行って、練習に行って、帰宅後は自炊して、何時に寝て…といった、自分が考える理想のスケジュール管理ができない。そのことにショックを受けてしまいました。「完璧な食生活と自己管理をしなければいけない」という思いが強く、「今日は疲れたからお総菜を買って、ご飯とお味噌汁だけ用意すればいい」「外食すればいい」といった考えが許せなかったのです。理想の生活から乖離(かいり)した現実に、「日常生活や食生活すら自分でコントロールできない…」という劣等感を抱えてしまいました。

数字ですぐに結果が分かる「体重」に執着

 そのとき、「スケートを上達させる」といった本来の目標を再認識できればよかったのですが、いつの間にか目標が「体重を管理したい」にすり替わってしまった。あの頃は、同世代の浅田真央ちゃんや安藤美姫ちゃんと自分を比べてしまい、「コーチに『頑張ったね』と褒めてもらいたい」「誰かに認められたい」という承認欲求がとても強かった。だからすぐに結果を出したかったのでしょう。スケートは試合に出場しないと結果が分かりませんが、数字ですぐに結果が分かる「体重」に、どんどん執着していきました。

 次第に食べられるものの許容範囲が狭くなっていきました。まず、大好きだったお肉が食べられなくなり、脂っこいものが食べられなくなり、油で炒めたものや油を使ったドレッシングが食べられなくなった。ご飯を食べるときも「何グラムか」といちいち量らないと安心して食べられず、外食もできなくなりました。大学の学食で注文できるのは素うどんぐらい。それもつらくなって、お昼の時間は食事をしなくて済む図書館に逃げ込みました。すると、誰ともコミュニケーションを取らなくなります。一人の時間が長くなると「体重が増えたらどうしよう」と悪い方に考え出し、負の連鎖に陥りました。

次ページ
母の一言

RELATED ARTICLES関連する記事

からだケアカテゴリの記事

カテゴリ記事をもっと見る

FEATURES of THEMEテーマ別特集

  • 加齢で進む胃の不調 機能性ディスペプシアと逆流性食道炎の原因と対策

    加齢により胃の機能が衰えると、さまざまな不調が起きる。ピロリ菌の除菌が進んで胃がんや胃潰瘍が減ってきた今、胃の病気の主役は、胃もたれや胃痛の症状を招く「機能性ディスペプシア」と、胸やけやげっぷが起きる「逆流性食道炎」の2つに移行しつつある。なぜ機能性ディスペプシアと逆流性食道炎は起きるのか、どのような治療が必要なのか、セルフケアで改善・予防できるのか。このテーマ別特集では、胃の不調の原因と、それを解消するための対策を一挙紹介していく。

  • 「中途覚醒が多く寝た気がしない」 中高年の睡眠の悩み解消術

    「睡眠の途中で何度も目を覚まし、眠った気がしない」「早朝に目覚めてしまい、その後なかなか寝付けない」――。歳をとるにつれ、そんな「中途覚醒」「早朝覚醒」に悩まされるようになったという人も多いだろう。なぜ中途覚醒は起きるのか。中途覚醒を解消して、若い頃のような「熟睡」を手に入れることはできるのか。このテーマ別特集では、中途覚醒の原因と、それを解消するための対策を一挙紹介していく。

  • 強い足腰を維持するための「骨」の強化法

    健康長寿の大敵となる「骨の脆弱化」を予防するには、若いうちから「骨を強くする生活習慣」を取り入れていくことが大切だ。このテーマ別特集では、骨が弱くなるメカニズムや危険因子、骨を強く保つための生活習慣のポイントなどについて解説していく。

テーマ別特集をもっと見る

スポーツ・エクササイズSPORTS

記事一覧をもっと見る

ダイエット・食生活DIETARY HABITS

記事一覧をもっと見る

からだケアBODY CARE

記事一覧をもっと見る

医療・予防MEDICAL CARE

記事一覧をもっと見る

「日経Goodayマイドクター会員(有料)」に会員登録すると...

  • 1オリジナルの鍵つき記事鍵つき記事がすべて読める!
  • 2医療専門家に電話相談できる!(24時間365日)
  • 3信頼できる名医の受診をサポート!※連続して180日以上ご利用の方限定

お知らせINFORMATION

日経Gooday新型コロナ特設

SNS

日経グッデイをフォローして、
最新情報をチェック!

RSS

人気記事ランキングRANKING

  • 現在
  • 週間
  • 月間

NIKKEICopyright © 2021 Nikkei Inc. All rights reserved.